阪神蕭一傑投手(24)が「マートン斬り」でアピールに成功した。メーン球場で行われたフリー打撃に登板。最初の相手は、特大アーチを連発する新助っ人だった。

 「多少、力みはあったけど、自分のペースで投げられた」。2球目に空振りを奪った。合計23球で、安打性は2本だけ。7球が打撃ケージから出ないファウルチップ。球威のある直球とスライダーで、マートンを圧倒した。続く関本に対しても、完ぺきにとらえられることはなかった。

 出遅れを取り戻すには、十分の内容だった。3日に「急性胃腸炎」で練習に参加できず、リタイア1号のレッテルを張られた。雨天順延で巡ってきた主力打者との対戦で、復調を印象づけた。マートンも「ほとんどがストレートだったが、いい球だったよ」と投球をたたえた。真弓監督も「力のある球を投げている」と頭にインプットした。

 開幕ローテーション争いは、先発候補が多いため、近年にない激しさを見せている。昨年のドラフト1位ルーキーは1軍未経験の実績を考えれば、かなりのアピールが必要だ。ただこの日の投球で、第1段階はクリア。13日からの練習試合・日本ハム2連戦の実戦マウンドが次のステージとなる。厳しい立場を理解しているのか、蕭は自らに合格点は出さなかった。

 「甘いコースにボールがいっている。(実戦は)楽しみ半分、不安もある。どこであっても、アピールするだけ」。

 安定感を買われて、初の沖縄キャンプの一員となった。しかし24歳の年齢を考えると、ガムシャラさがほしい。久保投手コーチは「荒れてもいいから、腕を強く振ってほしい」と言う。サバイバルを勝ち抜く気迫を見せることが、実戦登板での課題となる。

 [2010年2月9日11時34分

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