巨人に新たな「育成の星」の候補が現れた。宮崎キャンプの9日、育成ドラフト1位ルーキー星野真澄投手(25=BCリーグ・信濃)が原監督の見守る前でブルペン投球。計66球を投げたが、勢いのあるボールに原監督は「山口をほうふつとさせる存在感がある。素晴らしい」と、同じく育成から羽ばたいた山口になぞらえ絶賛した。今後の実戦登板次第で、支配下選手登録の可能性もありそうだ。

 阿部のミットが小気味よい音を立てると、原監督の目がカッと開いた。視線の先に立つ背番号「100」の星野は、ただただ懸命に腕を振った。1日限定で主力組のA班に呼ばれ、指揮官の前でブルペンに入った。数カ月前まで、キノコ工場の日給8000円のアルバイトで生計を立てていた左腕は「何が何だか分かりませんでした」と初の“御前投球”を振り返った。

 緊張の連続だった。周りは豊田、内海、東野…。独立リーグにいたころ、テレビで見るしかなかった投手ばかり。「周りを見ない方がいいと思いました」と打ち明けた。しかも、18・44メートル先には正捕手の阿部。「いきなり阿部さんが座ったので、どうしようかと」。すべてが初々しかったが、投球が緊張を押しのけた。

 最初は球がばらついたが、すぐに力強い音が響いた。直球はグンと伸び、カットボール、チェンジアップ、カーブと変化球はきれた。阿部は「左はいい打者が多いし、面白いよ」。原監督も絶賛。「山口を最初に見たときの雰囲気を持っていますね。近未来、3ケタの背番号が2ケタになっていく選手だという予感がします」と、4枠残る支配下登録入りを期待させた。

 昨季の新人王、松本は1年目春季キャンプの紅白戦で活躍し、支配下登録となった。13日、星野のいるB班で紅白戦がある。岡崎2軍監督は「星野が投げる可能性は十分。よければA班の紅白戦にも投げるでしょう」と明言。星野は「僕はもう後がない。1日でも早く(支配下に)上がりたいと思っています」と決意をにじませた。まずは、原監督を振り向かせた。その先の道は、実戦マウンドで切り開く。【古川真弥】

 [2010年2月10日8時29分

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