「3番」は渡さない!

 中日森野将彦内野手(31)が9日、北谷球場で初めてシート打撃に登場。いきなり二塁打2本を放って存在感をアピールした。新外国人の加入で昨季までの3番を外れる可能性があるが、今季の成績次第で立浪和義氏(40)の背番号「3」を継承できるかが決まるだけに打順降格はごめんだ。次代のミスター・ドラゴンズがクリーンアップを譲るわけにはいかない。

 森野はスケールアップしていた。初めてのシート打撃。まず新外国人右腕バルデスの144キロ直球をとらえると、打球は右翼手の頭上を越えていった。今季初の実戦打席ながら完ぺきな内容。さらに第2打席は右腕鈴木の外角球を左翼線へ運び、二塁打とした。

 「バットが遠回りしなくなった。今年は打撃の感触がいいんです」。

 ブランコ、和田、井端、荒木、谷繁ら主力がこぞって打席に立ったが、明らかに森野が際だっていた。

 今季は「3」がキーワードになる。昨季は不動の3番打者として打率2割8分9厘、23本塁打、109打点の活躍をしたが、新外国人セサルは1、2番を打てる打撃と走力をアピールしている。もしセサルが1、2番を打てば勝負強い井端が3番を打つ可能性もある。落合監督は関係者に「森野の2番もおもしろい」と漏らしており、6番転向の可能性を含めてクリーンアップの保証がない。

 ただ、森野にも自負がある。「勝負強い打撃を見せて、クリーンアップとして信頼されるようになりたい」。今季の目標は3割、30本塁打、100打点。特に打点にこだわっていて、3番の座は譲れない。昨年11月、1度は昨季限りで引退した立浪氏の背番号3を継承すると決定した。それでも本人の意向で1年間、球団に預かってもらった。今季、ノルマをクリアした時、初めて胸を張って3番をつけることができる。

 打撃好調の秘密にも「3」が絡んでいる。昨季との違いを問われた森野は「去年のキャンプで悪かったことを覚えていて、それを考えながらやっている。今年は構えがいいんでしょう」。昨季はキャンプから打撃不振が始まり、4月、5月と低迷した。その理由が構えだった。打席に入った時に投手に対し、いつも通りに立てない違和感があった。それを修正できずに開幕を迎えてしまった。

 そこで今季はスパイクのかかと部分を3ミリ低くした。この改造で、体重がつま先にかかりがちだった欠点を修正した。正しく構えられれば、正しく打てる。昨季の教訓を覚えていた森野にとって、この日の結果は必然だった。【鈴木忠平】

 [2010年2月10日10時10分

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