ソフトバンク和田毅投手(28)が危機を脱した。宮崎キャンプの11日、ブルペン入りして捕手を座らせての投球練習を再開した。左ひじの張りを訴えて6日のブルペン入りを回避するなど調整にブレーキがかかっていたが、これで再び開幕へ向けて発進。投球を見守った秋山幸二監督(47)も「開幕には問題ない」と、完全復活を目指す左腕に太鼓判を押した。

 雨音に負けないミット音がブルペンに響きわたった。しならせた左腕を振り抜き、和田が白球を投げ込む。約30球の立ち投げの後、捕手を座らせて8日ぶりに本格投球を再開。投球の合間にも左ひじを回し、1球ごとに感触を確かめながらすべて直球で25球を投じた。上々の試運転を終えると、天気とは対照的な曇りのない表情を浮かべた。

 和田

 日に日に良くなっている。変な張りもない。今日は座らせてどうなるか見たかった。前進です。

 指揮官も開幕ローテ入りへ太鼓判を押した。腕組みして投球を見守った秋山監督は「大丈夫でしょ。開幕には問題ないよ」と断言。高山投手コーチも「今日は腕が振れていた。良くなっている」と目を細めた。長期化を懸念していた首脳陣にも一様に安心感が広がった。

 5日前の不安は完全に消え去ろうとしている。左ひじの張りを訴えて6日のブルペン入りを回避。秋山ホークスに昨季の悪夢がよぎった。和田は昨年5月末に左ひじ炎症で離脱すると、医原性の違和感などで1軍復帰は9月までずれ込んだ。再び長期離脱となればチームへのダメージは計り知れなかったが、今回の張りについては首脳陣に「昨年のような感じではない」と説明。9日には早くもブルペン投球を再開するなど、順調な回復を見せた。

 思わぬつまずきがあっても、本人に焦りはない。「1月に投げている分、肩(の仕上がり)は問題ない。あとはひじの張りが完全になくなれば変化球も投げられる。まずは真っすぐをビシバシ投げられれば」。今季に向けては例年より1カ月前倒しのスケジュールを組み、1月のハワイ自主トレでは7度のブルペン入りで早く投げ込んできた。“貯金”があるから、予期せぬアクシデントにも動じることはない。

 今後について高山コーチは「状態を見ながら段階を踏んでいく。本人とも話をしながらね」と説明した。具体的な日程は未定だが、早ければキャンプ期間中にも実戦登板を迎える見通しだ。和田は「不安は今のところない」と言い切った。自己ワーストの4勝に終わった昨季の雪辱を果たすためにも、もう立ち止まるつもりはない。

 [2010年2月12日11時21分

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