またしても初戦で快音を響かせた。日本ハム中田翔内野手(20)が13日、今季対外試合初戦となる阪神との練習試合(宜野座)に「5番左翼」で出場し、7回の第4打席に左翼席へ「今季1号」を放った。ルーキーだった08年に続く、対外試合初戦での1発。天然芝球場での一戦にスパイクを忘れ、人工芝用で臨むという失態を犯し、怒られるというオチはついたが、グラウンドでは存在感を見せつけた。

 今キャンプ取り組んでいる「脱力系スイング」のたまものだった。7回無死一塁の第4打席、中田は阪神ルーキー藤原正典投手(22=立命大)の120キロ内角スライダーに、体をきれいに回転させながら反応。舞い上がった打球は、詰まりながらも、軽々と左翼フェンスを越えた。技ありの一撃に「バットを出しただけ。内のボールをさばいただけなので、あんなに飛ぶと思わなかった。(脱力スイングが)できていると思います」と手応えを口にした。

 予兆はあった。5回2死二、三塁の場面でも、金村暁の外角低めの変化球にうまくバットを合わせ、中前2点適時打を放った。「先っぽだったけど、粘り強くセンター前に持っていけました。ホームランの打席より良かった」と手応えを口にする。4、8回には三振を喫して「まだまだです」と反省もしたが、大村打撃コーチも「力が入っているとスイングが鈍くなるし、軌道がぶれるけど、今は変わってきている」と目を細めた。場外弾を放った08年、4打数2安打だった昨年に続き、対外試合初戦を5打数2安打4打点の活躍で滑り出した。

 だが試合後、中田を待っていたのは福良ヘッド兼打撃コーチの「デコピン」だった。実は靴底に刃のついたスパイクを忘れ、札幌ドームなどで使用する人工芝用のスパイクで出場していた。打席の中はもちろん、前日12日までの雨でぬれた外野の芝生上でも、小さなイボイボがついているだけの“軽装”でプレーを続けていた。5度の守備機会も無難にこなしたが、清水外野守備走塁コーチも「ホントは満点をやりたかったけど…」とガックリ。打撃では脱力系の「ゆるキャラ」で結果を残したが、グラウンド外の“ゆるさ”には首脳陣からおしかりを受けた。

 梨田監督は「まだ粗いところがある。今日だけで満足していたら進歩はない」と辛口評価。当の中田本人も「打撃も守備も課題が見つかった。まだまだ練習しないと」と、今季1号に浮かれることなく、気を引き締めた。【本間翼】

 [2010年2月14日9時11分

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