ひとりでお先に開幕します!

 中日藤井淳志外野手(28)が14日、韓国LGとの練習試合(北谷)で今季初の実戦に出場し、打撃の進化を確信した。巨人007の熱視線を浴びながら、左投手の外角低めのチェンジアップを泳ぎながら芯でとらえるテクニックを披露。安打こそ出なかったが、3四球を選ぶ選球眼のよさも見せつけた。外野の定位置獲得に向け、2月20日のヤクルトとのオープン戦初戦(北谷)を仮想開幕戦に定め、猛アピールする。

 一見すると平凡な右飛に、ネット裏の巨人三井運営部次長がうなった。2番中堅で先発した藤井の、初回1死走者なしの右打席。LGの左腕・徐承和のカウント2-1からのチェンジアップを、体勢を崩されながら右方向に運んだ場面だ。「去年に比べて打撃がよくなっている。泳いでも打てるようになっている。うちが1番マークしなければならないのが中日ですからね」。外野のレギュラー候補の進化に要注意マークをつけた。

 藤井も初打席の凡打に手ごたえをつかんだ。「去年までは引っかけていた球」。泳がされてもあきらめず、安打になる確率の高い打ち方に切り替えられた。昨年は終盤の左肋骨(ろっこつ)骨折で規定打席に8打席足りず、打率も2割9分9厘。1安打の価値を痛感させられただけに、打率アップに対する思いは強い。その後3四球を選んだことも収穫。「全部2-3からでしたからね」と話した。

 スタートダッシュをかけるXデーも定まった。2月20日、ヤクルトとのオープン戦初戦だ。本来は3月26日の開幕に合わせるものだが、藤井にとっての開幕はあくまで2・20。「ボクにとってはオープン戦は公式戦と同じ。調整の場なんてつもりはありません」と言い切る。昨年のオープン戦は歴代3位となる32安打をマーク。オリックス・イチローの30安打(94年)を超え、東映張本(65年、70年)に並んだ。今年も定位置を確保しておらず、レギュラー陣より1カ月早くスイッチを入れる覚悟だ。

 反省も忘れなかった。この日、顔をしかめて振り返ったのが、相手投手の一塁けん制に2度ひっかかった場面だ。5回1死一塁で右投手に刺され、7回にも別の右投手のけん制に飛び出した。相手のまずい挟殺プレーに助けられて二塁を陥れたが「ボーンヘッド。こんなことやっていたらだめです」と猛省した。

 現時点で、外野で定位置を確約されているのは和田だけ。新外国人セサルが中堅か右翼に入るなら、残りは1枠だ。「やるしかないですから」。藤井は進化した打撃を武器に、勝負をかける。【村野

 森】

 [2010年2月15日10時35分

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