広島天谷宗一郎外野手(26)が「3大革命」で進化を目指す。18日、シート打撃で3打数2安打をマークし、順調な調整ぶりを示した。前日17日には契約するゼット社に、バットの先端をくりぬかない新タイプの製造をリクエストしたことが判明。素材も今季からアオダモに変えるなど、従来よりも細かい打撃感覚を追求する。打撃動作でも、投手と正対する構えに微調整。あくなき向上心でステップアップを図る。

 強烈な打球が充実ぶりを物語る。午前中のシート打撃。天谷の鮮やかなバットスイングが光った。長谷川の速球をたたいた打球は右翼ライナー。上野からは一、二塁間を破るゴロで二走の生還を呼んだ。極め付きは相沢との対決だ。一塁手のミットをはじき、内野安打をマーク。コンパクトに振り、力強くミートして、存在感を見せつけた。

 天谷

 課題があるなかでも、順調に来ていると思いますし、例年以上に仕上がりもいいですね。まだ規定打席に達したことがない。まずは、そこからです。

 昨季、5月中旬に右手を骨折しながらトータルでは打率3割をマーク。不動のレギュラーをつかむため、日南キャンプでは打撃を磨く。「3大革命」が、さらなる飛躍へのカギを握る。

 (1)バットのヘッド改良

 これまで先端部分を1センチくりぬいたタイプを用いてきたが、プロ入り後、初めてくりぬかない型を試すという。前日17日に発注。天谷は「ヘッドの重みを感じたい。フリー打撃では感じるのですが、実戦でも重みを感じて打ちたい。そうすれば、もっと(球をとらえる)確率も良くなると思います」。ミート力アップへ、あえて重みを加える。

 (2)バットの素材変更

 ここ数年は硬質のメープルをバットの素材として用いていたが、今年からアオダモに変えた。弾力性に富むのが特長で、天谷も「打撃自体を柔らかくしたいので」と説明。しなやかなスイングを実現するためにも理想のタイプを追い求める。

 (3)構えの微調整

 今キャンプでは、打席で構えた際に背筋がピンと伸びている。天谷は投手と向き合う際に両肩を「正対させる」イメージという。投手板に対し両肩を直角に保ち、バッターボックスのラインと平行にすることを意識。バットを構えたときに右肩が内寄りに入りがちだったクセを修正した。「下半身主導で打てるようになって、肩の反動も少なくなった」。これによりスムーズにバットも出るようになった。

 今年の紅白戦3試合はいずれもクリーンアップ(3番2回、5番1回)に座った。中軸への期待も高まっており、浅井打撃コーチも「タイプは1番かもしれないけど長打があるので、もったいない。しっかり振れているし、安定感を持ってやっている」と評価する。それでも背番号49は言う。「何番を打ちたいとか、こだわりはありません。何番でもいいから、試合に出たいです」。大ブレークするためにも、いまはひたすらキバを研ぐ。【酒井俊作】

 [2010年2月19日10時33分

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