復活へ続く1発だ。昨年9月に腰を手術した巨人高橋由伸外野手(34)が20日、チームの今季最初の対外試合となった広島との練習試合(サンマリンスタジアム)で勝ち越しソロを放った。08年9月23日の広島戦以来516日(1年5カ月)ぶりとなるアーチで、順調な回復ぶりを見せた。21日のソフトバンクとの練習試合は、巨人長嶋終身名誉監督、ソフトバンク王会長が視察する。ONにも元気な姿を印象づける。

 久々のヨシノブ弾は、あっという間だった。2-2の4回2死走者無し、高橋はいつもどおりバットを小刻みに揺らして構えた。カウント1-3から、広島今井の高めの変化球。バットの揺れが止まった次の瞬間、ボールは右翼席へはじき返された。1年5カ月ぶりの実戦アーチは、高橋らしい弾丸ライナーだった。

 テーマがあった。「6番一塁」でスタメン出場したが「実戦を離れているからね。振ってドンドンあわせていかないと」と積極的に臨んだ。2回の第1打席は、篠田の初球を右前打。変化球にバットを折られたが、振り切った分、内野の頭を越えた。本塁打は、バッティングカウントで甘い球を見逃さなかった。「まだまだ感覚はほど遠い部分がある。でも結果が良かったのはホッとしています」と手放しでは喜ばなかったが、1安打した17日の紅白戦に続きステップアップした。

 昨年9月の手術後、忍耐強くリハビリを続けてきた。曲折もあった。年末、ジャイアンツ球場で自主トレを続けていたころ、「壁が来ている」と明かした。医者には全治4カ月と言われたが、あくまで普通の人の場合。プロは何かを出来るだけでなく、質こそ問われる。「これからは、どれだけ強く振れるかが大事」と課題を挙げた。それから1カ月余り、当初からの目標だった「キャンプ初日に全体メニュー参加」をクリア。さらに実戦復帰と、1つずつ壁を乗り越えている。

 試合後は室内練習場で約200球のティー打撃。「明日は明日でどうなるか想像はつかない。当然、不安だよ」と正直に言った。でも、表情は明るかった。21日のソフトバンク戦は、長嶋終身名誉監督、王会長が視察する。「出場するかは、まだ分からないけど、状態が良ければ。元気な姿を見せられればいいかな」と笑った。2人の大先輩に、復活ロードを歩く姿を見てもらう。【古川真弥】

 [2010年2月21日8時38分

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