阪神小嶋達也投手(24)が、1軍昇格内定1号を勝ち取った。20日、今キャンプ初めて行われた紅白戦に、白組の先発として登板。1次キャンプを2軍(安芸)で過ごした男は、ブラゼル、マートンら相手に3回1安打無失点と好投し、首脳陣から高評価を勝ち取った。次回登板は27、28日に予定されるオリックスとのオープン戦(安芸、春野)が有力。昨年10月に左ひざを手術した左腕が、どん底からの1軍生き残りを狙う。

 栄えある“開幕マウンド”で、懸命に左腕を振った。今キャンプ初めて行われた紅白戦。いの一番でまっ新なマウンドに上がった小嶋は、1軍クラスの選手を相手にしてもひるまなかった。

 先頭の新外国人マートンを3球で三ゴロに仕留めると、3回までに許した安打は桜井の右前打のみ。スライダーに加えて自信のあるチェンジアップで打者のタイミングを外し、得点圏にすら走者を進めさせなかった。「感覚としては納得いくものではなかったが、ストライク先行でいけた」。打者10人と対戦して初球ストライクが7人。常に自分のペースで打者を料理し、アピール投につなげた。

 昨年11月、シーズン中から痛みを抱えていた左ひざの手術を受けた。今キャンプは当然のように2軍スタートとなったが「ここ(1軍合流後、2軍との合同紅白戦)で投げることを目標にやってきた」と高い意識を持ち続けた。その思いは行動にも表れている。

 今キャンプはここまで、2軍投手陣では2番目に多い投げ込みを行った。思い返せば1月12日の寮開きでも、真っ先にグラウンドに出て体を動かしたのもこの男。「体は全然大丈夫なんで。何とか1軍に残れるようにしたい」。06年に希望枠で入団しながら、ここまでわずか2勝と伸び悩みを見せる左腕の、今季に掛ける思いは人一倍強い。

 首脳陣の評価も上々だ。真弓監督が「自分の投球ができていたと思うよ」と及第点を与えれば、久保投手コーチも「いい球を放っていたね。体の不安がなくなったことが一番大きい。2軍からもいい報告は受けていたからね。ここからはどんどん先に進めるんじゃない」と1軍昇格が内定。21日の紅白戦も、若手投手陣が主体となって登板予定。その中から評価を得た投手が27、28日のオープン戦に登板予定のため、小嶋は1軍帯同をほぼ手中に収めたことになる。

 先発陣は開幕投手候補の1人だった岩田が左ひじ痛で離脱。チームにとっては不安の種だが、小嶋ら若手投手にとっては大きなチャンス。1軍生き残りをかけた熱い戦いが、投手陣の底上げにもつながるはずだ。

 [2010年2月21日11時22分

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