怪物が眠りから覚めた。今季期待の日本ハム中田翔内野手(20)が20日、2軍キャンプ地の沖縄・国頭村で行われた1、2軍合同の紅白戦に7番左翼で先発出場。第3打席まで実戦9打席連続無安打と沈黙したが、9回の第4打席に左翼線二塁打を放った。首脳陣も絶賛する実戦10打席ぶりの快音で、復調気配。悲願の定位置奪取へ向けて、再スタートを切った。

 久々のポカポカ陽気に誘われるように、暗いトンネルから抜けた。中田に再爆発の気配だ。最終9回の第4打席。フルカウントから、ダースの内角の直球系に反応した。鋭いライナーで左翼線へ運んだ。17日の韓国LG戦の第2打席で左前打を放って以来、実戦10打席ぶり安打。「どんどん振っていく気持ちでやっている。この前の試合のときより(感触は)全然いい」と再び、自信を取り戻した。

 空回りしていた積極性が、ようやく実を結んだ。前回の18日韓国SK戦から、この日の2打席目まで5打席連続で初球打ち。首脳陣からは淡泊に見えた打撃に苦言を呈されていたが、この日もスタイルを変えなかった。「自分みたいな打者は追い込まれてから対応する技術がないので、いい球が来たら1球目から打っていこうと思っている」とのポリシーを貫きながら、打開した。

 再びエンジンがかかる、きっかけをつかんだ。今季初の対外試合の阪神との練習試合で1発を含む2安打4打点。快調なスタートを切ったが、陽らアピールを続ける左翼手のライバルたちにやや後れを取っていた。ミートポイントなどにバラつきがあり結果同様、内容も伴っていなかった。福良ヘッド兼打撃コーチも「1打席目は『悪い中田』だったけれど、それ以外は良かった」と評価した。

 試合前には不振を知るファンから沖縄の方言で「頑張れ!」を意味する「ちばりよー!」とゲキが飛んだ。周囲に同情にも似た声を掛けられるほどのプチスランプを脱出。梨田監督も「(凡打にも)惜しいなというのがあった」と一安心した。21日にはヤクルトとの練習試合が行われ、実戦モードが本格化する。「安打や本塁打を打ちたいけども今は濃い内容が求められていると思う」。中田のリベンジの春が、また楽しみになってきた。【石井克】

 [2010年2月21日11時16分

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