ブーちゃんが鮮烈な1軍デビューを果たした。中日のドラフト5位中田亮二内野手(22=亜大)が21日、韓国ハンファとの練習試合(沖縄・北谷)に9番指名打者で先発出場。5回の第2打席で左翼線へ初安打となる鮮やかな二塁打を放った。前日20日夜に緊急昇格が決定し、初の対外試合に即出場して結果を出した。辻総合コーチは「(1軍でも)左の代打としてチャンスはある」と打撃センスを絶賛。このままいけば開幕1軍も夢ではない。

 鮮やかな流し打ちだった。2-0で迎えた5回、無死走者なし。カウント2-0と追い込まれた中田亮は、外角よりの直球に反応した。体に似合わずコンパクトなスイング。その瞬間、強烈な打球が左翼線へ転がった。テクニシャンぶりを発揮し、観客席からは大きな拍手が巻き起こった。1番荒木、クリーンアップに森野、ブランコ、和田。主力が名を連ねたこの試合。1番の盛り上がりは、間違いなくブーちゃんの初安打の場面だった。

 中田亮

 自分の中では楽に打てた。簡単に追い込まれたが(追い込まれるまでの)2球は思っていたのとは違って逆球だった。次にちゃんと対応すれば大丈夫だと思った。うまく対応できた。しっかり振れたんで良かったです。

 緊急招集だった。中田亮の試合出場が決まったのは前日20日夜。辻総合コーチは「打撃が良いという報告は受けていた。監督と食事をしていて『じゃあ(1軍に)呼ぼうか』ということになった」と説明した。すぐさま実戦で結果を出したブーちゃんの評価も上がった。この日は3打数1安打と見せ場は二塁打だけだったが、同総合コーチは「打撃に関しては良い。(1軍でも)左の代打とかでもチャンスがあるかもしれない」と立浪、井上が引退し、手薄となった「左の代打」としての可能性についても言及した。

 いじられキャラは健在だった。試合前には一塁ベンチ前の円陣で「声だし役」を命じられた。同僚に囲まれ「キャンプも終盤に差し掛かってきましたが、気を引き締めて頑張りましょう!

 ファイト!

 一発!」と絶叫。仲間の笑いを誘った。中田亮は「小田さんから言われてやりました。恥ずかしかった。1軍のベンチ?

 とけ込みやすかったです」と苦笑い。そのビジュアルと性格はファンだけではなく、チームメートからも愛されている。

 辻総合コーチは「(今後は)他の選手が1軍に来るかもしれないし、ブーちゃんが残る可能性もある」と話した。このまま結果を残せば、開幕1軍の夢が広がってくる。試合終了後も1時間の守備練習にランニングと、へとへとになった中田亮は「ゆっくり寝たいです」と言い残し、「ブーちゃん劇場」と化した北谷球場を後にした。【桝井聡】

 [2010年2月22日10時13分

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