3番OK!

 広島天谷宗一郎外野手(26)が21日、練習試合の西武戦(天福)で5打数5安打の猛打ショーを披露した。前日20日の巨人戦に続く3番起用で好結果を重ねており、野村謙二郎監督(43)も「(3番が)一番理想」と構想を明かした。まだ確定していないが、開幕3番に向けて大前進したのは事実。持ち前の機動力だけでなく、長打力も兼ね備えており、打線の破壊力アップに貢献できる存在だ。

 打席からはオーラすら漂う。劣勢に立たされた試合展開を引き締めたのは、天谷のバットだ。鋭いスイングから繰り出す打球はライナーではじかれる。左前打、右前打、右中間二塁打…。試合の終盤になっても勢いは衰えない。7回に右翼へ二塁打を放つと、9回にもマーク。3打席連続二塁打の圧巻ショーで締めた。

 天谷

 たまたまが、いっぱいあった。柔らかく打てたらいいなと思っていました。今日は良かったです。次が大事になってきます。

 1軍戦では未経験の固め打ちで存在感を強烈にアピールした。前日20日の巨人戦から2試合連続で3番に起用された。まだオープン戦も始まっていないが早くも「3番テスト」に合格した格好だ。

 野村監督

 彼の3番のほうが、栗原を4番として考えたときに一番理想。確定していないけど(打者が)右右と続くより、左右と並ぶほうがいい。まだ、どうなるか分からないけどね。

 クリーンアップとして求められるハードルは高い。この日の朝。天谷は野村監督からハッパをかけられていた。「昨日の巨人戦、お前が打っていたら勝っている試合を、お前が打たなかったから負けたんだ」。1回に先制の2点タイムリーを放ったが、勝ち越し機だった4回2死二、三塁で左飛に倒れていた。自身も「内田さんにも『1打席目に1本出て残り4打席が、もったいない』と言われた。今日は1打席目にヒットが出て、そのあたりを意識して良かった」と振り返る。失敗を生かし、猛打に結びつけた。

 昨季は46試合、先発3番を務め、168打数50安打をマーク。打率2割9分8厘と及第点の成績を残していた。ステップアップを期す背番号49に緩みはない。

 天谷

 (3番の適性を野村監督が口にして)素直にうれしいですけど、まだ練習試合。オープン戦も始まっていない。いい投手が出てきたらどうなるか。試合に出られればいい、としか思っていません。

 今季から柔らかい打撃を追い求めて、バットをメープルからアオダモ製に変えるなど工夫も重ねる。今季の実戦5試合は17打数8安打で、打率4割7分1厘。不動の3番奪取に向けて、まずは好スタートを決めた。【酒井俊作】

 [2010年2月22日9時59分

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