ソフトバンクが「大ちゃん流」の攻撃的走塁を見せつけた。22日の斗山(韓国)との練習試合で次々と足技を仕掛け、5回の逆転につなげた。新任の大石大二郎ヘッドコーチ(51)の掲げる積極走塁が形を見せ始めた。

 (1)重盗

 初回無死一、二塁で一塁走者の柴原と二塁走者の本多が重盗を仕掛けた(本多がアウト)。

 (2)例外なし

 1死一塁から小斉の左中間二塁打で、俊足とはほど遠い田上が一気に本塁を突いたが、好返球で再び失敗。

 (3)とにかく前進

 1点差を追う5回無死一、三塁から一塁走者の明石が二盗に成功。本多の同点右犠飛の間に三塁へ進んだ明石は、続く柴原の二ゴロの際に前進守備をものともせず本塁へ突入。勝ち越しのホームを踏んだ。

 失敗を恐れずに攻め抜いた。大石ヘッドは「ああいうプレー(明石の走塁)は大きい」と手放しでたたえた。今キャンプの実戦では「とにかく積極的に走る。足の遅い人でも盗塁を試みている」と走塁意識の向上に力を入れる。イズムは着実にチームへ浸透している。

 ネット裏の偵察隊も身を乗り出した。西武の根本スコアラーは「走る能力のある選手はすべて警戒しないと」と戦々恐々。大石イズムの浸透に「去年のオリックスは相手投手が投げる前にスタートを切るぐらい積極的に走ってきた。大石ヘッドに替わって(ソフトバンクは)どんどん走ってくるはず」と警戒を強める。

 完成形はまだ先だ。大石ヘッドは「三盗はまだうまくいってない」と課題を挙げた。昨季12球団トップの126盗塁をマークした日本最速軍団が、さらなる高みを目指す。

 [2010年2月23日11時49分

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