「城島フィーバー」でV奪還の足場が固まった。阪神は26日、高知・安芸の春季キャンプを打ち上げた。ベテランから若手まで順調に練習メニューを消化し、G倒への戦力は整備されつつある。真弓明信監督(56)はキャンプのMVPとして、新戦力の城島健司捕手(33)を挙げた。攻守でメジャー級のプレーを見せ、チームに大きな刺激を与えた。3月26日の開幕・横浜戦まで残り1カ月を切った。「ジョー改革」はさらに進む。

 キャンプ最終日は大雨だった。まるで沸きに沸いた「城島フィーバー」をクールダウンさせるようだ。26日間で最も目立った選手を問われ、真弓監督はこう答えた。「後から考えれば、城島が目立ったかな」。33歳の元メジャーリーガーがグラウンド内外で話題を独占。MVP級の評価が与えられた。

 狙い通りの活躍だった。昨オフの補強の超目玉として城島を獲得したが、試合以外にも波及効果を期待してのことだ。それは投手陣や若手など他の選手への刺激となる存在。ブルペンを中心に、積極的にコミュニケーションを図る場面が目立ち、自らの意見をしっかりと主張する姿勢はチームにとって、新鮮だった。さらに紅白戦の初打席本塁打や一塁けん制で見せた強肩など実戦で強烈なインパクトを残した。指揮官は言う。「さすがだな、と思ったのは、最初の打席や最初のマスクで力を見せてくれた。魅せるところで魅せるというプロらしい選手だ」。練習後のファンサービスも含めて、存在感は日ごとに増した。

 城島が注目を一身に背負ったことで、主力にも好影響はあったはずだ。金本や新井、外国人選手らがマイペースで調整できた。故障者が最小限に抑えられ、投打両面でキャンプは順調に終了した。真弓監督は「十分にやりたいことがやれた。やり残すことがないキャンプだった」と好感触を得た。

 27日からオープン戦が始まる。これから開幕まで、チームの歯車をかみ合わせていく。城島は3月3日の日本ハム戦(札幌ドーム)から出場する予定だ。「実戦になってから、本当の化学変化は起きる」。指揮官はチーム状態のさらなる変化を予想した。V奪還の基礎作りは完了した。「ジョー改革」がどう発展していくか、乞うご期待だ。【田口真一郎】

 [2010年2月27日12時7分

 紙面から]ソーシャルブックマーク