<阪神11-1オリックス>◇27日◇安芸

 2年目の真弓阪神が花火大会のド迫力白星発進だ!

 マートンに続けと、3番起用が決まっている鳥谷敬内野手(28)が3回に2ランを放った。新選手会長のアーチで勢いづき、1試合5発の本塁打攻勢で岡田オリックスを圧倒した。これで金本、城島が加われば、破壊力抜群のオーダーになることは確実。日本一に輝いた「85年打線」の再来が、ホンマに実現するかもしれませんで。

 衝撃の連続が安芸を襲った。同点で迎えた3回裏。3番鳥谷が進化の放物線を描いた。絶妙のさばきで内角スライダーをとらえる。打球はファウルゾーンに切れることなく、右翼方向に突き進んだ。今季1号となる特大2ラン。「いい感じで打てたと思う。そんなにカンカン打つタイプじゃないが、うまく打てた」。納得の一打で、最後までボールの行方を追うことはなかった。マートンの先頭打者本塁打で沸いたスタンドの興奮は、一気に頂点に達した。

 今年は違う。明らかに打線の雰囲気は変わった。今季も3番を担う鳥谷が打って、チームは勢いづいた。狩野、桜井、大和にもアーチが飛び出す。1試合5本塁打は06年3月14日の日本ハム戦(東京ドーム=金本3、浜中、シーツ)以来。今回は5人5発という点に値打ちがある。「去年は速い球に力負けしていたのが、目についた。それを解消できなかったが、そういうことが出来始めたんじゃないかな」と真弓監督は言った。

 “飛ぶボール”だけが原因ではない。主力だけじゃなく、若手のスイングも力強さが出てきた。鳥谷が試合前の模様を明かした。和田打撃コーチが「積極的にストレートを打ち返そう」と号令をかけたという。自身の本塁打はスライダーを攻略してのものだが、打ったのは2球目だった。攻撃的な姿勢が結果につながった。「積極的に振ってくると思えば、相手も簡単にストライクを取れない」。若きチームリーダーを先頭に、ブンブンとバットを振った。

 オープン戦初戦は阪神の新旧監督対決に注目が集まった。ふたを開ければ、攻守で真弓阪神が圧倒。それでも鳥谷はクールに初戦を振り返る。「これがシーズンだったら、最高のスタートだけど、オープン戦なので。しっかりやれればいい。一喜一憂している場合じゃない」。ただこれで期待するな、というのは無理な注文。金本、城島が加わるベストオーダーの破壊力に夢が広がる。

 [2010年2月28日12時37分

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