<オリックス5-0阪神>◇2月28日◇春野

 ちっくと打たれたけど、心配ないぜよ!

 阪神藤川球児投手(29)が2月28日、生まれ故郷、高知県で行われたオープン戦・オリックス戦(春野)で約6年半ぶりの先発マウンドに立った。同い年で親交のある赤田にいきなり2ランを浴びる“ハプニング”もあったが、その後は3者連続三振の快投で地元ファンを楽しませた。今年2度目の実戦登板は1回2失点。高知商時代に県大会で熱戦を繰り広げた球場に足を踏み入れ、シーズンインに向けてエネルギーを充電した。

 試合後、春野球場三塁側裏の駐車スペース。「今、話している場所で泣いた記憶もある」と球児が感慨深げにポツリつぶやいた。

 大切な場所。気持ちの高ぶりは抑えきれない。凱旋(がいせん)登板を心から喜び、まさかの1発を浴びても笑みは絶えなかった。

 藤川

 本当に(シーズンでの)先発ならもっと戦略を練って行くけど、地元なんで元気な姿を見せたいと思った。ストレートをどんどん投げていこうと思ったけど、あっさりホームランを打たれて、これ以上恥をかけないな、と。

 01年2月25日のオープン戦西武戦以来、3290日ぶりとなる思い出の球場。しかも03年9月19日巨人戦以来、2354日ぶりの先発マウンドだった。オリックスの先頭坂口への内角143キロ直球は一、二塁間を破られ、2番赤田にはカウント0-2から真ん中141キロ直球を右翼席まで運ばれた。ここから別のスイッチが入った。駆け引きありの“勝負”をスタート。3番後藤、4番T-岡田、5番ラロッカからあっさり3者連続三振を奪った。

 赤田は同じ80年生まれ、98年プロ入り。「(今年)12球団(他球団)の野手で唯一、野手でご飯を食べた選手。そのままレギュラーを取ってほしい」と同期生に笑顔でエール。「先発とかいろいろ、本当に幸せ。満足です」。被弾まで楽しめるほど、うれしかった。

 特別な球場だ。「甲子園より、僕にとっては思い出深い場所」。高知商2年の97年7月29日には明徳義塾を1-0で破って、甲子園切符を手にした。3年生で迎えた翌98年7月28日は県大会準決勝で高知に敗れ、高校野球生活を終えた。かつて大粒の涙を流した春野球場。特別な思いがあるだけに、マウンドに立つ喜びもひとしおだ。今オフは原点回帰にこだわり、年末年始は高知で自主トレ。1月には「高知県観光特使」に任命された。そんな流れを締めくくる凱旋(がいせん)登板は、地元ファンを大いに楽しませた。

 藤川

 抑えないといけないことは分かっている。相手に強烈な印象を与えるストレートを武器にやっていきたい。(直球を)待っているところで(直球を)いけば、もう1つ上に、もうワンステップ上がれる。

 「火の玉ストレート」にこだわる今年、調整は順調そのものだ。そこにまた、新たなエネルギーを充電。「2点取られたし、まだ地元に帰ってくるな、ということですね。もうちょっと現役で頑張ります」。最後は冗談めかし、無邪気に決意表明だ。

 [2010年3月1日10時59分

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