前田智が帰ってくる!

 下半身の慢性的な故障から復活を目指す広島前田智徳外野手(38)に3日、「実戦スタンバイOK」が出た。マツダスタジアムでの1、2軍合同練習に参加。野村謙二郎監督(43)が実戦時期について「試合の準備ができているというサインがある」とし、08年以来、2年ぶりの試合出場が近いことを示唆した。早ければ今季本拠地初戦となる4日のオープン戦・西武戦(マツダ)で、カープのサムライが戦場に戻ってくる。

 ベテランの実戦復帰が秒読み段階に入った。ランチタイムのフリー打撃。前田智が的確なミートで鋭い打球を連発した。サク越えもマークするなど、約40スイングで感触を確かめた。昨季はプロ入り初めて1、2軍を通じて実戦に出場していない。ファンも注目する試合復帰について、野村監督がメドを口にした。

 「ベンチ入りして、打席に立ってもらえれば。(試合には)明日(4日)入るか、それ以降か分からないけど、試合の準備はできているというサインはある。早い段階だけど『早いうちに』という意向もある」

 過去に腰、アキレス腱などを痛めた経緯もあり、1年のブランクがある。いち早く実戦感覚を取り戻すためにも、オープン戦も早い時期から出場するつもりだ。キャンプ終盤から3月上旬が目安になっていた。この日、前田智は「まだそういうところ(実戦)までいっていない」と話すにとどめたが、指揮官には実戦復帰への意欲を示す。あくまで下半身の状態や試合当日の天候などにもよるが、早ければ4日の西武戦にも実戦を再開する。

 卓越した打撃技術は健在だ。キャンプ終盤には浅井打撃コーチが「状態は悪くない。あとはスピード感だと思う」と説明した。勝負勘を磨くためにも、代打だけでなく、指名打者などで積極的に打席に立たせたい方針。左の代打の切り札として期待は大きく、通算2071安打を誇るヒットマンの存在感はクローズアップされる一方だ。

 実戦に踏み切るためのバロメーターになるのは「走る」こと。この日、全体での実戦守備練習には参加せず、一塁側ファウルゾーンで力強いダッシュを繰り返した。年明け早々には「代打でチームに貢献できるよう頑張りたい。それしか生き残る道はない」と覚悟を固めた。1年遅れの新本拠地デビューへ。かつてチームメートだった野村監督を支えるためにも、前田智が不退転の決意でゲームに戻ってくる。【酒井俊作】

 [2010年3月4日14時6分

 紙面から]ソーシャルブックマーク