<広島7-5西武>◇4日◇マツダスタジアム

 野村カープが本拠地初陣で初勝利!

 広島はオープン戦の西武戦を行い、逆転勝ちを収めた。野村謙二郎新監督(43)にとって、初めてのホームでの指揮。3点を追う5回に3安打を集め、好走塁なども絡めて一気に4点を奪った。野村監督も「走塁への意識は、すごく高くまで来ている」と話すなど、手応えを感じている。昨季、大きく負け越した本拠地で、まずは幸先のいいスタートを切った。

 ソツのない攻めで逆転勝ちを呼び込んだ。1回に4点を失ったが動じない。リードオフマンの東出は笑みを浮かべて振り返る。「チームとして勝ちにこだわっている。2回出塁して、2回かえってこれましたからね」。特に2度目の生還に、機動力の重要性が詰まっていた。

 5回、2点差に迫り、なおも1死一、二塁。東出が左中間に強い打球を放った。外野がフェンス手前で追いついたときには俊足を飛ばして二塁へ。自らの適時打で1点を刻んで、直後には暴投で三進。梵が放った遊撃手前へのゴロを浅村が捕れず、敵失の間に勝ち越しのホームを踏んだ。得点圏に進んで、相手守備に重圧をかける。野村監督も足を生かした攻撃に、合格点を与えた。

 「次の塁を狙う姿勢というか、走者の姿勢が暴投を生んだ。攻撃は全体としては、目指すところができてきている。走塁の意識がすごく高くなってきている。まだ、僕の求めるところまでは行っていないけどね」

 新球場1年目だった昨季は29勝37敗1分けと散々な成績だった。昨年10月、指揮官も就任直後に「まだ自分たちの球場になっていない」と評した。優勝を狙うためには、地の利は欠かせない。劣勢の試合展開だったが、キャンプから取り組んできた「走塁革命」が浸透している証拠を示した。3度、盗塁を試みた梵も言う。「『塁に出たら、どんどん行くつもりでいてくれ』と言われています。オープン戦だからできることもある」と自覚を口にした。

 チーム全体に、ハングリー精神が波及する。逆転した5回に口火を切ったのは2軍暮らしが長い中東だ。この日「9番左翼」で先発に抜てきされ、中前適時打で応えた。必死に白球を追う姿を指揮官も見ている。「このチームに、ギラギラ感というか、何かやってやろうという、新しい血というか、力を出せたんじゃないか」。生まれ変わりつつある広島は、ハツラツとした戦いで勝負する。【酒井俊作】

 [2010年3月5日10時27分

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