<オリックス3-1中日>◇6日◇京セラドーム大阪

 隠れ首位打者だ!

 中日のドラフト5位大島洋平外野手(24=日本生命)がオリックスとのオープン戦(京セラドーム)に1番中堅でスタメン出場。3打数2安打で打率を4割6分7厘まで上げた。規定打席に6打席足りないため、打率ランキングに名前こそ出ないが、新人離れした安定感で「右翼争い」で大きくリードを奪った。

 まず3回。1死一塁からオリックス先発木佐貫の直球をとらえ、右前にはじき返した。さらに7回には近藤から鋭く投手を強襲する内野安打。「きょうはバットがよく出てくれました」。5回には四球を選び、4打席で3出塁。規定に6打席足りないものの、打率は首位打者の日本ハム中田翔(4割1分2厘)を上回っている。チーム内競争の中で結果を出し続けるうちに「隠れ首位打者」と言える存在になっていた。

 「1打席、1打席、状況を考えてという感じです」。大島が言うように、ただ単にヒットを連ねるだけではない。打線の中で機能していることに価値がある。初回、先頭の第1打席ではカウント2―3まで粘った(中飛)。対照的に一塁に走者を置いた第2打席では初球を引っ張り、一、三塁とチャンスを広げた。「あそこは打つ方向を(右に)決めていました」。走者のいない第3、第4打席は粘った末に四球と内野安打。状況に応じて、セオリー通りの打撃ができる能力が大島の魅力だろう。

 京セラドーム大阪は社会人・日本生命時代、慣れ親しんだ。トップバッターとして日本選手権では首位打者も獲得した。「特別な意識はなかったんですが、懐かしい気持ち。昔からずっと1番。僕はスターではなく脇役ですから」。アマ時代と変わらないクレバーな打撃で1番としての適性も示した。藤井、野本、松井佑らとしのぎを削る右翼争い。大島のリードは揺るぎないものになってきた。【鈴木忠平】

 [2010年3月7日12時50分

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