<阪神0-1西武>◇7日◇倉敷

 「K」が帰ってきた。阪神久保田智之投手(29)が7日の西武戦(倉敷)でオープン戦に初登板し、1回を1奪三振無安打に抑えた。最速146キロの直球に、変化球のキレも良かった。2年ぶりに中継ぎに復帰する方針が固まったばかりで、さっそく結果を残した。今季は藤川にバトンを渡すセットアッパーが試合の鍵を握る。「JFK」で経験豊富な久保田が復活すれば、投手力アップは間違いない。

 「鉄腕」が輝きを取り戻した。最終回にマウンドに上がり、ガムシャラに腕を振った。2者連続で左飛に打ち取った後、2番原との対決。直球はこの日最速の146キロを計測。2ストライクに追い込んでから、習得中のチェンジアップで空振り三振を奪った。「良かったです。これを続けていかないといけない」。打者3人を圧倒し、鋭い目つきのままベンチに帰った。「JFK」の最強トリオでファンを沸かせたかつての雰囲気が漂っていた。

 試合終盤という緊迫感あふれる「戦場」が久保田にあっているのだろうか。昨年は先発に挑戦したが、1軍登板は1試合だけ。勤続疲労や右肩痛の影響をもろに受けた。盟友ウィリアムスがチームを離れ、チームもメッセンジャー獲得で中継ぎを補強。先発陣にも入り込めない状況で、その存在感は薄れつつあった。オフにオリックス岡田監督が「使わないんだったら、ほしい」とラブコールを送ったのも当然の流れ。ただ久保田は余剰戦力ではなかった。南球団社長は「長年の疲労もある。1年間休むような形になるが、きっとやってくれるはず」と話したことがあった。

 久保田も復活をかけて、必死だった。以前はキャンプで200球以上を連日投げるのが当たり前だったが、今年は休養日を設けるなど体のケアに注意しながら、コンディション作りに努めた。首脳陣の方針で中継ぎ復帰が決まり、先発への思いもあっただろうが、「(心残りは)残っていない」と封印。ポジションにかかわらず、まずは働きの場を求めた。オープン戦初戦で1回無安打無失点という好スタート。真弓監督は手放しで喜んだ。「球の速さが戻っていた。球児の前の2人がどうしてもほしい。その中に入ってくれると助かる。経験している所だし、キレが戻ると、信頼できる投手だ」。久保田から藤川につなぐ勝利のバトンリレー。あの興奮が再びよみがえるかもしれない。

 [2010年3月8日11時46分

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