<ソフトバンク5-7巨人>◇7日◇福岡ヤフードーム

 お待たせ!

 ソフトバンクの新外国人、李■浩(イ・ボムホ)内野手(28=ハンファ)が、来日1号だ。巨人とのオープン戦(福岡ヤフードーム)で7回、元メジャー右腕小林からバックスクリーン左へ、ライナー性で飛び込む豪快な1発。ここまで単打だけだった迫力不足の懸念を一掃。実戦51打席目の本塁打だった。開幕1軍を事実上決定づけたばかりか、松田や松中、小久保らライバルからのポジション奪取の可能性も出てきた。

 これが李■浩の実力だ。7回裏。2死二塁。カウント0-3となり、直球1本に狙いを絞った。巨人小林の143キロの低め直球を豪快にすくい上げた。センター方向に低い角度で飛び出した打球は、バックスクリーン左で着弾。来日1号だ。2月14日の紅白戦から実戦15試合、51打席目のアーチだった。ここまで単打ばかりだった助っ人砲が、ついに韓国球界160本塁打の本領を発揮した。

 李■浩

 3ボールになって思い切って振っていった。キャンプ中から本塁打が出ていなかったが、それは意識していなかった。強い打球を打つことに集中していた。

 ベース1周に笑顔はない。当然と言わんばかり。本拠ラストのオープン戦で飛び出した初アーチで地元ファンを安心させた。

 オープン戦開幕以降、27打数8安打4打点で打率2割9分6厘。だが、四球を9個も稼ぎ、出塁率は4割7分2厘。何よりもチャンスに強い。2月27日には今季初のサヨナラ勝ちを呼び込む決勝打を放つなど、得点圏打率は3割3分3厘(9打数3安打)。キャンプ中から食事をともにしている主将小久保も「(楽天田中から本塁打を放った)WBCを思い出したよ。勝負強い。サヨナラ打も打ったし、雰囲気がある」と、昨春WBCで日本を震え上がらせた当時とダブらせた。

 誰もが一目置く力に加え、研究にも余念がない。本塁打を打った直後、ベンチではメモ帳にペンを走らせた。単に相手投手の球種を書き込むだけではない。カウント別に投げてくる球種について、勝負球など多岐にわたる。ベンチで隣に座る川崎は「あいつは(相手投手について)聞いてくるんですよ。意識が高いと感じる」と明かした。

 自らのバットで道を切り開いた。秋山監督は「いい押し込みだった。これでまたつかめただろう」。パワフルなひと振りで、事実上の開幕1軍メンバー入りを果たしたと言える。

 それどころか、ライバルを脅かす存在になった。右ひざ手術から復活を目指して試合出場を始めた主砲松中の調整が遅れれば、スタメンDHを狙える。大石ヘッドコーチは今後オープン戦での起用について「三塁起用?

 可能性はあるでしょう。ボムホだけ打席が少なくなることはない」。サードのポジションを松田から奪う可能性も出てきた。さらに、一塁小久保もウカウカしていられない。シ烈な競争がチームのレベルアップを生む。李■浩が、秋山ホークスになくてはならない存在になった一打でもあった。【松井周治】※■は木ヘンに凡

 [2010年3月8日13時21分

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