<阪神2-0横浜>◇13日◇甲子園

 ライトは、桜や!

 阪神桜井広大外野手(26)が開幕前哨戦となる13日の横浜戦で、今季の甲子園1号となる2号2ランを放ち、プロ初の開幕スタメンに当確ランプをともした。2回、先発寺原に130メートル弾を浴びせ、4回にも中前打を放つなど2安打2打点の大暴れ。昨季4位からの逆襲を期すシーズン。桜井が「8番・右翼」として、開幕ダッシュの原動力になる。

 自らのバットで、開幕スタメンをつかみ取った。2回無死一塁。桜井はカウント1-0から寺原の内角にわずかに沈む139キロを、すくい上げるようにとらえた。高く舞い上がった打球は、ゆっくりと左翼スタンドへ飛び込んだ。決勝2ランは、リニューアルが完了した甲子園の1号アーチ。そして、9年目で初となる開幕スタメンの座を、グッと引き寄せる1発だった。

 桜井

 自分のタイミングでしっかり振れている。今日はよかったけど、明日も続けられるようにしたい。徐々にストライクとボールの見極めもできて、状態も上がってきている。

 ファーストストライクから積極的に手を出した。初球の内角ギリギリの141キロを思い切り引っ張った。ファウルになると、すぐに次の標的に意識を切り替えた。やや甘く入った2球目を逃さなかった。2打席目以降は無理に打ちにいかなかったが、好球必打の姿勢は変わらない。4回の第2打席は中前打を放ったが、打ったのはフルカウントからの外角低め。四球で歩くことなど、考えなかった。

 昨オフから取り組んできた打撃だった。昨秋、PL学園の先輩、片岡打撃コーチから城島の積極打法を引き合いに出され「見本になりうるというより、なってもらわないと困る」とすすめられた。目が覚めた気がした。迷うより、まず振る。2月27日のオリックス戦(安芸)では本塁打を放ったが「甘い球を1球で仕留められるようにしたい」と満足しなかった。

 思い切りのよさを支えるのは、強靱(きょうじん)な下半身だ。昨秋、真弓監督に「力があるのにボールがもうひとつ飛んでいかない」と、下半身の使い方を徹底的に教え込まれた。縮こまったフォームを矯正するため、連日大きな振りでフリー打撃を行った。ありあまるパワーがボールに伝わるようになり、オープン戦ではセ・リーグ2位タイの2本塁打。思い切りのよさは打率にも好影響を及ぼし、ここまでセ2位の3割をマークしている。

 真弓監督は「桜井が開幕ライトの最有力か」と問われると「今のところはね」と明言した。キャンプでは右翼の強力なライバルとして林がいた。真弓監督も「どんどん競争してもらはないといけない」と競争をあおった。ただ、試合を重ねるうちに地力の違いを見せ、最後は長距離砲らしくアーチで勝負を決めた。2週間後に迫ったオープニングゲームで、リニューアルした恐怖の8番打者が暴れまわる。

 [2010年3月14日11時29分

 紙面から]ソーシャルブックマーク