<ソフトバンク5-9広島>◇13日◇尾道

 「開幕4番」へ、連日のアピールだ!

 ソフトバンク松中信彦外野手(36)が、今季初長打を放った。広島とのオープン戦(尾道)に4番DHでスタメン出場。2回の第1打席で、広島先発ジオから左翼フェンス直撃の二塁打を放った。6日の巨人戦で実戦復帰した主砲は、前日12日のヤクルト戦で初安打。この日は長打に加え、初めてスライディングを行うなど右ひざの不安を一掃。開幕1週間前に、主砲のエンジンが全開になってきた。

 松中が激打&激走で「完全復活」を猛アピールした。2回表。先頭で打席に入った。1ストライク2ボールから広島先発ジオが投じた4球目の外角直球を、思いきりしばいた。打球はグングン左翼方向へ。フェンスに直撃した。あと50センチでスタンドインだった打球を見つめながら、主砲は初めて一塁ベースを蹴り、二塁へ到達した。

 今オープン戦の打席数はこの日の4打席を加えて15打席。投手の生きた球をとらえる感覚に関して、松中は「いや、まだまだです。キャンプ(を例年通り行った状態)に比べれば」と話した。実戦12打席目での初長打にも、笑顔はなかった。昨秋の右ひざ手術により、例年のような打ち込みはできていない。過去の自身と照ら合わせた場合、開幕戦を1週間後に控えた時期の打撃の状態にはほど遠いと、本人も認めざるを得ない。

 だが、この日は長打以上の収穫があった。真っ黒に汚れたユニホームの右ひざが、それだ。復帰後初めてスライディングを敢行した。2回に二塁打を放った松中はその後、相手ボークで三進。続く小久保の当たりは三塁手・栗原の正面に飛んだ。アウトカウントは無死。通常はストップする場面だが、松中は迷わず本塁へ突っ込んだ。そして、右ひざを折りながら滑り込んだ。このスライディングに対しては「確認できたんで(よかった)」と収穫を口にした。アウトになりはしたが、本人にとってもチームにとっても、走れる松中を実証できたことに大きな意味があった。

 残りのオープン戦は14日の広島戦1試合。試合後「まだ明日1試合あるんで」と、多くは語らず険しい顔で帰りのバスに乗り込んだ。開幕スタメンへの道が険しいことに変わりはないが、プレーボールがかかるギリギリまで、先発DHをあきらめるつもりはない。

 [2010年3月14日12時23分

 紙面から]ソーシャルブックマーク