<巨人2-6中日>◇18日◇静岡

 19歳右腕が開幕ローテをガッチリつかんだ。2年目の中日伊藤準規投手が18日、巨人戦(静岡)に先発し5回を1安打無失点に封じた。16日の日本ハム戦(鎌ケ谷)で懲罰降板させられてから中1日の“追試”で満点回答。昨季から続く、対巨人戦無失点イニングを18回1/3まで伸ばした。無類のGキラーを開幕5カード目の巨人3連戦にぶつける場合、逆算してローテを組むと開幕広島3連戦(ナゴヤドーム)に抜てきされる可能性も十分。竜の背番号18が、大きく飛躍するチャンスをつかんだ。

 ローテ入りを決める文句なしの快投だ。初回、1番坂本から縦に大きく割れるカーブで空振り三振を奪うと、そこからはエンジンを全開だった。最速146キロの直球を軸に切れ味鋭いカーブ、フォークを効果的にちりばめた。打たれたヒットは3回、7番長野の左翼線への二塁打1本だけ。寒空の中、試合途中には小雨も降り出したが半袖の19歳右腕はお構いなし。2日前に1回2安打2失点で“懲罰降板”させられた姿とはまるで別人だった。

 伊藤

 前回が全然ダメだったので、今回の投球につながった。2日前(16日)の試合後に今日の登板を(首脳陣から)言われた。全然、体は大丈夫だった。フォームも修正してスピードも制球も上がった。今回はバランスだけをこだわった。

 前回登板した16日の日本ハム戦(鎌ケ谷)では初回の先頭打者に四球を与えるなど、制球が定まらず1イニングで自軍ベンチから“タオル”が投げられた。その後はブルペンに直行し、フォームを修正。伊藤は「スムーズな流れで投げることを確認した」と40分間、約100球に及んだ投げ込みの成果を口にした。

 無類のGキラーだ。昨年9月のプロ初登板の相手は巨人だった。それ以降、巨人戦ではゼロ行進。連続無失点イニングはついに18回1/3まで伸びた。伊藤は「(巨人相手で)気持ちの波はなかった」と話したが、ライバルにはめっぽう強い。YGマークを見ると燃え上がる―。伊藤にはそんなエースの素質が備わっているかもしれない。

 Gキラーを開幕5カード目の巨人3連戦にぶつける可能性は高い。となれば、26日からの広島との開幕カードに先発することも十分ありえる。伊藤は「本当ならもう投げられないと思ったけど、チャンスをもらった。でもこれで終わりじゃない」とはっきりと前を見据えた。巨人が警戒する存在になった19歳の右腕が、今季どれだけ飛躍するか。無限の伸びしろは頼もしい限り。Gの連覇を阻止する刺客が、落合中日の武器になる。【桝井聡】

 [2010年3月19日11時31分

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