レギュラー定着に奮闘中の日本ハム中田翔内野手(20)に、「強風」の試練が課せられる。24日、千葉マリンで行われた全体練習に参加し、26日ロッテ戦では、先発左腕の成瀬対策として「7番左翼」で2戦ぶりのスタメン復帰が濃厚となった。独特の海風が吹く同球場で初めて就く外野守備で、課題を克服するか、はたまた露呈するか。イチかバチかの試合に向け、おとこ気をたぎらせた。

 野球人生の追い風になるのか、逆風になるのか。中田が、自然の脅威と向き合うことになった。1日のオフが明け、全体練習を再開した千葉マリン。近隣の室内練習場でフリー打撃など軽めのメニューを終えてから、険しい目つきでグラウンドに現れた。「すごい風が吹くみたいやな。変な風らしいな。難しいやろな」と思わずつぶやいた。

 ピンチと表裏一体のチャンスが到来する。26日からのロッテ3連戦の初戦で、2試合ぶりのスタメン出場が濃厚となった。左腕成瀬攻略のため、中田が起用される「左翼」と「DH」に右打者を配置。二岡は開幕3戦、DHで打率3割8分5厘(13打数5安打)と好調で、打順2番で起用される見込み。梨田監督がこの日、「二岡は外せない」と話したことから、中田が「7番左翼」に収まる方向だ。

 最大で10メートル以上の強風が吹くこともある難所が立ちはだかる。08年オープン戦、09年の2軍戦で一塁守備には就いているが、今季から本格挑戦している外野守備は未経験。ロッテには井口、サブロー、金泰均、今江ら右の強打者がそろう。厳しい守備機会に多く直面する可能性は十分ある。

 いつかはクリアしなければいけない壁に、早くもぶつかる。梨田監督は「この球場がなくなるわけじゃない。ミスはあるかもしれないけれど、恐れていたら使えなくなる」と期待の逸材を、あえて荒海に放り出す。この日は降雨でグラウンドで練習できず、25日も天気予報では降水確率90%。ぶっつけ本番になる可能性もあるが、中田は秘めた野心を明かした。「自信?

 守備はないよ、全然まだまだ。でもここでソツなくやれたら自信になるやろな」。逆襲を誓う3年目に訪れた新たな関門で、大勝負に出る。【高山通史】

 [2010年3月25日8時29分

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