阪神真弓明信監督(56)が開幕戦から異例のスクランブル態勢で臨む決意を明かした。25日に京セラドーム大阪で最終調整。先発陣がオープン戦で不安を露呈したが、積極的な中継ぎ起用で乗り切る考えを固めた。「球数を制限していかないといけない。中継ぎ、抑えにがんばってもらわないと」。V奪還のノルマに掲げる開幕ダッシュの実現に、非情さい配も辞さない。勝利に徹する指揮官が、勝負の2年目に挑む。

 指揮官の頭には、「勝利」の2文字しかなかった。約3時間の最終調整を終えて、闘争心をあらわにした。「今年は開幕ダッシュで、最初からどんどん飛ばしていきたい」。就任2年目は口癖のように開幕からの快進撃を唱えてきた。本気だ。そのために異例のタクトを振るう決意を固めている。「先発はここまでオープン戦であまり球数を投げていない。最初は、球数を制限していかないといけない。中継ぎ、抑えがオープン戦で調子が良かったので、がんばってもらわないと」。開幕戦からスクランブル態勢で臨むことを明かした。

 打線のスケールアップは、オープン戦の合計本塁打22本に表れている。その一方で、先発陣に不安が残った。岩田の故障による離脱、フォッサムの不調。開幕ダッシュを阻む懸念材料になりかねない。そこで真弓監督は非情さい配を辞さない構えを見せた。「今年はもつれる試合が多くなる。何とか接戦をモノにしていきたい。1点でも多く取って、1点でも防ぐゲームをしないといけない」。今季は雨天の影響で、先発陣が予定したスケジュールをこなせなかった面がある。ただ藤川を中心にしたリリーフ陣は順調に仕上がった。早めの投手交代も当然、選択肢の中で大きな割合を占める。昨年は育成の意味をこめて、先発投手の投球回数を増やす傾向があったが、開幕当初はその方針を封印。必勝リレーを頭に描いている。

 真弓監督のプランは、5球団との対戦が一巡するまでに貯金を荒稼ぎし、その後はじっくりと腰を落ち着けて戦うというもの。「(総力戦は)開幕当初はね。ひと回りしてから、シーズンを通して考えるが、とにかく全部勝つつもりでいきたい」。強力打線の編成で、その可能性は十分にある。執念のベンチワークを加えて、最高の春を迎える。【田口真一郎】

 [2010年3月26日11時41分

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