ヤクルトのドラフト1位左腕、中沢雅人(25=トヨタ自動車)が偉大な先輩投手たちに肩を並べる。31日の中日戦(神宮)で初先発が濃厚になっている。プロ初登板で初白星を挙げれば、02年の石川雅規以来、球団史上10人目の快挙となる。29日は神宮外苑で調整を行い、今季12球団で新人一番乗りとなる初白星ゲットに意気込んだ。20歳の由規、22歳の村中が好投して巨人との開幕カードを勝ち越したチームに、新たな若手が台頭する。

 五分咲きの桜を背に、さわやかな笑顔が映える。中沢がデビュー戦を間近に控え、キャッチボールや走り込みで調整を行った。「自分は緊張しない方なので、大丈夫だと思います。自分の投球ができるように頑張ります」。高校、大学、社会人と全国舞台を経験してきた男は臆(おく)することはない。

 社会人時代の昨年まで過ごした愛知を本拠地とする中日が相手だ。初登板で初白星を挙げれば、球団史上8年ぶり。完投勝利ともなれば52年の小山以来、半世紀ぶりの偉業となる。過去の達成者にはエース石川や西村龍次ら歴代の好投手が並ぶが、その中には現投手コーチの伊藤智仁も含まれる。中沢は今春キャンプ、オープン戦と伊藤コーチから投球フォームのアドバイスを受けており「伊藤さんに言われたことを意識して臨みたい」と意気込んだ。

 順調に結果を残してきた社会人NO・1左腕が、今年の12球団の新人では先発マウンド一番乗りだ。140キロ台中盤の直球にスライダー、チェンジアップ、縦に割れるカーブが武器。オープン戦では7日の日本ハム戦で4回を1安打0封、13日の楽天戦で6回7安打2失点と上々の投球を披露した。22日のイースタン湘南戦では4回8安打6失点(自責3)だったが「課題が出たので、修正するだけ」と自信を見せる。埼玉・戸田の2軍寮の部屋にテレビを購入したばかりで、社会人時代の試合のビデオを見て投球フォームを確認する毎日を送る。

 開幕カードで由規、村中が巨人打線をねじ伏せて2勝1敗と勝ち越し、3年目の高田ヤクルトは幸先の良いスタートを切った。30日は昨季最多16勝の館山、そして31日の中沢と、桜満開の連勝街道を突き進む。【由本裕貴】

 [2010年3月30日8時3分

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