<阪神6-5横浜>◇9日◇甲子園
これだけ打つ手がはまったら気持ちいいでしょうなあ。阪神真弓明信監督(56)が送り出した期待の若手が次々と結果を出し、白星を運んできた。8回ミラクル逆転劇は代走大和に代走上本が好走塁。先発久保から新人藤原正典(22)、2年目西村憲(23)とつぎ込んで藤川球児までつないだ継投策もパーフェクトだった。ダントツで多い25度目の逆転勝利は、指揮官の会心の采配がもたらした。
痛快すぎる逆転劇に真弓監督の笑顔は絶えなかった。7回、そして8回だ。久しく渇望されていたフレッシュパワーが爆発的に開花した。「1点を追う展開になったけど、何とか最後につかまえられた」。采配ズバリ、しかも若虎が期待以上に躍った快勝で、手応えは半端なく大きかった。
ドラマはサプライズ起用から始まった。7回はスレッジ、ハーパーとこの日1発を放った左が並ぶ攻撃。1点差の正念場で投入したのは何と、新人藤原だった。唯一の中継ぎ左腕はまだプロ6試合目。だが指揮官の買った度胸のよさは本物だった。鮮やかな3人斬りに「(プロの)マウンドに合ってきた。これからどんどん左にぶつけていきたい」。8回に投入した西村も無安打でつなぎ、完全に流れを引き寄せた。
躍る若虎に監督のタクトはどんどん攻撃的になった。「とにかく同点にしとかないと」。その裏先頭ブラゼルが二塁打で出ると、迷わず代走大和を投入。足で重圧をかけ、金本の内野ゴロでまんまと同点の野選をもぎ取った。さらに金本への代走がまだプロで1試合しか出ていない上本だ。「思い切りがあるし、それだけのことはファームでしっかりやっていたから」。これまた度胸を買ったスペシャル起用。エンディングは二盗で本塁生還という、漫画のような離れ業で今季25度目となる逆転での白星を手にした。
監督は就任1年目の昨春、目指す野球をこう表現していた。「機動力を使った攻撃をしたい。見に来たファンが“おもしろいな”という野球をね」。目をつけていたのが、当時新人の上本だった。「上本にしても走ってほしい時に走れるように。各ポジションの選手がすばらしい動き、足の速さや肩の強さをしっかり見せるゲームをやりたい」。
今はド派手な重量打線に目がいくが、理想は1発長打だけに頼らず、機動力をからめて得点を奪いたい。ベンチに入れている大和、上本、22歳の新人藤川俊は目指す野球の申し子たちだった。さらに救援陣には22歳の若竹、捕手には24歳小宮山を入れるなど、育てながら勝つ布陣を敷いている。主力の高齢化も進む今、未来の虎にも希望を抱かせる1勝となった。
巨人が敗れついに1・5差。熱い言葉があふれ出た。「球宴まで試合も少ないし、ダッシュをかけたい。ゲーム差は気にしないけど、貯金を1つでも多くと思っている」。若虎の激走にちなんだような力強いダッシュ宣言。首位の座は完全に射程圏だ。【松井清員】
[2010年7月10日11時19分
紙面から]ソーシャルブックマーク




