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逆襲へ最後のピース「レフト金本」

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守備位置で送球に備えて何度も肩を回す金本(撮影・松本俊)
守備位置で送球に備えて何度も肩を回す金本(撮影・松本俊)

<阪神1-3ヤクルト>◇16日◇神宮

 この日を待っていた。右肩痛でDH、代打生活が続いていた阪神金本知憲外野手(42)が、ヤクルト戦に6番左翼でフル出場。連続フルイニング出場が途切れた4月17日以来、90日ぶりに左翼の守備に就いた。守備機会を無難にこなし、打っては4打数0安打。完全復帰1戦目は完全燃焼とはいかず、チームも敗れたが、虎打線に欠かせないピースがついに埋まった。この日快勝した首位巨人に2・5と離されたが、本当の逆襲はここから始まる。

 自ら“別れ”を告げた定位置に、90日ぶりの帰還を果たした。連続試合フルイニング出場記録が途切れる原因となった右肩痛は、まだ万全とは言えない。それでもこの男は、戦いの最前線に身を置くことを、自らの意志で決めた。4月17日の横浜戦以来となる左翼での先発復帰。阪神では初めて、6番のスコアボードに「金本」の名が刻まれた。

 その瞬間、西日に照らされた左翼席から大歓声が沸き起こる。「おかえり!」「待ってたぞ!」待ちに待ったアニキの先発復帰。巨人追撃に欠かせない最高の1ピースが、ようやくはまった。「いつでもいける準備はできてる」。7月に入って口癖のように話してきた金本も、この時ばかりは自身の名が点灯されたスコアボードを凝視。ベンチの最後方にどっしり腰を下ろし、ジワジワ戦闘意欲を高めた。

 途方もない時間と、過酷なリハビリを乗り越えて、定位置に帰って来た。右肩痛で先発落ちした直後は、交流戦中の守備復帰を視野にリハビリを始めたが、右肩の状態は一向に上がらず。それどころか、一時は痛みが悪化する時期さえあった。「すぐ投げられるようになると思っていたけど、オレの考えが甘かったわ」。反省の言葉が口をつくことも珍しくなかった。

 遠征先ではナイター後でも午前10時過ぎには起床。トレーナーとマンツーマンで右肩周辺の筋力強化に励む日々に「やることが多すぎて、ゆっくりできる時間がない。睡眠が足りんわ」とぼやく姿も見られた。グラウンドでもゴムチューブを手に、インナーマッスルを鍛える地道なトレーニングの毎日。同じことの繰り返しで、モチベーションの維持だけでも難しい胸中を支えていたのは「このままでは終われんやろ」という意地だった。

 守備復帰の光が差し込んだ7月初めには、連続フルイニング記録ストップの引き金になった送球場面を引き合いに出しながら「あんな惨めなプレーはもう見せたくないからな」と笑顔で振り返る姿があった。その時点で、金本の中では先発復帰の青写真が浮かび上がっていたのかもしれない。

 想像以上の時間を費やし、ようやくたどり着いた先発復帰。4回に畠山の左飛を無難にさばいたが、4打席で快音を響かせられず、最後の打者として試合終了を迎えた。ただ、試合前ノックでは初めて中継役を使わずに本塁へ1バウンド送球を披露するなど、元気な姿も見られた。

 チームは19日ぶりの連敗で、首位巨人に2・5差とされたが、そんなものを感じさせない雰囲気をアニキの存在感が消し去った。17日、仕切り直しの同カードで本来の打棒を発揮する。

 [2010年7月17日12時4分 紙面から]


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金本知憲

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