坂本劇的サヨナラ弾、巨人0・5差離れん
<巨人7-4中日>◇28日◇東京ドーム
巨人が劇的なサヨナラ勝ちで、阪神追撃へののろしを上げた。4-4の延長11回2死一、二塁から、坂本勇人内野手(21)が今季2本目のサヨナラ本塁打となる特大の18号3ランを放った。エース内海哲也投手(28)が6回途中3失点で降板。14試合続けて先発投手の勝ち星が付かない厳しい戦いを、坂本が豪快な1発で締めくくった。一夜での首位奪回はならなかったが、0・5差で首位阪神をピタリと追走する。
ボールの行方を確認するまでもなかった。坂本は打った瞬間、ベンチの仲間に向かって、右手を大きく突き上げた。左翼のバルコニー席に飛び込む自身4本目の特大サヨナラ弾。「めちゃくちゃ気持ち良かったです。最後まで残って応援してくれているファンのためにも打ちたかった」。4時間を超える試合を、最後まで見届けたファンにささげる1発だった。
「持っている男」に、最高の場面は巡ってきた。延長11回2死一、二塁、マウンドには平井。「(9回1死二塁の)サヨナラのチャンスで凡退していたので、しっかり決めてやろうと。強い気持ちを持って打席に入った」。初球の変化球を見送った後の2球目だった。「力の抜けた良いスイングだった」と振り返る一振りで、試合を決めた。
グラウンドで見せる明るい表情の裏で、必死にもがき、苦しんでいた。開幕から順調に安打を積み上げてきたが、7月に入りペースダウン。13日の阪神戦後、普段は過去を振り返らない男が、珍しく去年の同時期との成績を気にしていた。昨年から2分下回る打率に「全然、駄目ですね。このままじゃやばいですよ」とポツリ。先の見えない現実に、危機感を募らせた。
スランプ打開の鍵は、1本の安打にあった。7月21日のヤクルト戦。凡打に終われば、3割を切る正念場で二塁打を放った。昨年も2度訪れた3割切りの危機を安打で回避。「もう思い切りいくしかないって感じでした。打てる時があれば、打てない時もある。切り替えが大事なんですよね。でも後悔だけはしないように、気持ちを切らさず全力で」。持ち前のプラス思考を思い起こさせた。
サヨナラ勝利後、坂本の頭をナデナデした原監督も同じ考えだった。「彼の思い切りの良さと勝負強さが出ていました。ギリギリの試合が続く中では投手も野手も度胸だよね」とハートの強さを認めた。負ければ首位阪神とのゲーム差が1・5に広がる一戦で放った自身最多タイの18号3ラン。「まだ終わったわけじゃないので。(記録は)終わってから」。次に過去を振り返るのは、勝利の美酒を全身に浴びた時でいい。【久保賢吾】
[2010年7月29日9時8分 紙面から]
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