日本野球機構(NPB)は23日、都内のコミッショナー事務局で、来季から1軍の試合で使用される12球団統一使用球を発表した。ミズノ社製の新しいボールは反発係数が規定の下限ギリギリに想定されたもので、現在使用されているボールよりも1メートル飛ばないように設計されている。契約期間は2年。今季は12球団が各メーカーとの個別契約を継続し、複数種類のボールが使用され、統一球は今秋のキャンプから各球団に配られる。

 来季から使われるボールがついにお披露目された。特徴は縫い目の幅が広くなり、高さが抑えられたこと。そして、コルク芯を覆うゴム材を新たな配合で開発したことで、両リーグアグリーメントに定められている反発係数の下限値0・4134に近いボールをつくることに成功した。

 例えば、144キロの速球をバットのスイングスピード126キロで打ち返し、飛び出し角度が、最も打球の飛ぶ27度と仮定した場合、現在使われているボールは110・4メートル飛ぶが、新しいボールは109・4メートルと、平均で1メートル飛ばない計算になる。

 手触りについては、大きな違いこそないが、背中部分だけでなく、キメの粗い脇や腹の部分の牛皮も使うことで、MLBや国際野球連盟(IBAF)の試合球に感触を近づけている。これを上海とアモイの工場で量産していく構えだ。

 また大きな特徴としてボールに「加藤良三」と直筆のサインが入れられた。MLBのボールにはセリグ・コミッショナーの名前が入っているが、それに倣った形。漢字と英語のサインを見比べた上で、漢字が採用された。加藤コミッショナーも「私の名前が入って、バットでひっぱたきやすくなる」とジョークを交えて説明した。

 今回の統一球は、09年WBCで日本代表選手がボールの違いに戸惑ったということが引き金になった。ただし、WBC使用球はローリング社製のため、このままでは国際試合で戸惑わないようにという当初の目標は達成されない。加藤コミッショナーは「大リーグのボールより質はいい。プレーヤーに優しい。日本ベースのこの球が、国際試合で広く使われるように、守勢ではなく攻勢に出て行きたい」と積極的に働きかけていく意向を示した。

 [2010年8月24日10時49分

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