城島に宣戦布告や!

 楽天からFA宣言した藤井彰人捕手(34)が22日、阪神と大阪市内のホテルで第2回交渉を行い、入団を明言した。2年総額1億2000万円で背番号は50。左ひざを手術して開幕が絶望的となった城島健司捕手(34)の代役との触れ込みに反発。定位置争いに「勝つ」と宣言した。(金額は推定)

 来季の目標を問われた時だった。阪神入団を決めた藤井は自ら、その名前を出した。武骨な「いてまえ魂」を受け継ぐ大阪人。藤井流の宣戦布告だった。

 藤井

 城島の代わりとか代役と言われますが、僕はそういう風に思ってない。

 来季開幕が絶望な正妻の代役として、白羽を立てられた。だが本人は城島の復帰後も、控えに甘んじるつもりはない。同じ昭和51年生まれで、誕生日がわずか10日違いの同級生。「打撃もスゴイ。見習うところが多い」。謙遜(けんそん)したが、本音は逆だった。

 藤井

 やるからには自分が出たい。競争なんで。チャレンジャーとして、そこに挑みたい。比べものにならないぐらいの選手ですが、チャレンジの気持ちを忘れず、そこに勝って、自分の力で精いっぱい頑張りたい。

 実績は圧倒的に城島が上。だが08年、リーグトップの盗塁阻止率4割2分9厘をマーク。21勝の岩隈と最優秀バッテリーに輝いた自負がある。肩の強さは譲っても、インサイドワークなら城島に負けない。今季4・05に終わった虎の投手防御率を下げ、勝利に導く自信がある。

 藤井

 特に守りの方を重視されてると思う。捕手は勝たないと意味がない。出る試合は何としても勝つ。

 城島に負けない活躍を誓った背景には阪神、そして真弓監督に恩返ししたい思いがある。2年総額1億2000万円を準備し、交渉解禁の18日に即日アタック。そしてこの日の第2回交渉には、指揮官が南球団社長らと直々に足を運んでくれた。

 藤井

 「一緒のユニホームを着よう!」と言っていただいた。心の中では(今日来る前に阪神と)決めてたのですが、すぐに「お願いします」と伝えました。

 00年から球団統合までの5年間、真弓コーチにプロの道を教わり、一緒に優勝も味わった。その恩師が「守備は十分任せられる」と腕を買い、獲得に名乗り出てくれた。恥をかかせるわけにはいかない。そして自身、小さい頃からあこがれだったタテジマで、もう一勝負掛けたい思いがある。新背番号は50に決まった。

 藤井

 1年目から31番をつけてましたが、新しい気持ちでスタートしたい。『藤井を取って良かった』と言われるよう頑張りたい。

 城島の開幕絶望が発表されてからわずか10日。もはや運命としかいいようのないタイミング、そして導きでタテジマ戦士となった。そして城島という大きな山に、真っ向勝負を挑む。この男が大暴れすれば、虎の11年は明るいはずだ。【松井清員】

 [2010年11月23日11時38分

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