マエケンと同じ道を駆け上がる!

 広島の2年目、今村猛投手(19)が7日、沖縄キャンプで打撃投手として初登板し、ストレートのみ48球のデモンストレーションで首脳陣をうならせた。12日の練習試合日本ハム戦(沖縄)での先発も濃厚。前田健は高卒2年目の08年に9勝を挙げたが、負けじと活躍を目指す。

 今村には、前田健の足跡がくっきりと見えている。高卒2年目でのブレーク。陽光照りつける沖縄で、猛アピールだ。今季初めて打者と対戦。充実の48球だった。丸への13球目。ビシッと内角に速球を投げ、さらにもう1球同じコースへ。ファウル、飛球…。平均140キロのオール速球で、安打性8本に封じ込めた。見守った指揮官も目を細めた。

 野村監督

 速球も今の段階で去年のシーズン中くらいが出ている。何かをつかんできているんじゃないか。2年目で笑顔が増えている。手応えがあるのかな。

 試行錯誤で苦悩した昨季の姿はない。左足を高く引き上げ、左股関節にパワーをため込んだ状態で踏み込んでいく新投法は力強さがみなぎる。「結構、詰まらせていました。そっち(左打者の内角)しか練習していない。内角を突けたら幅も広がる。いい感じで来ています」。野球人生でもっとも高い位置まで左膝を上げ、躍動感を取り戻した。

 最高のお手本は、エースの前田健だ。高卒2年目の08年に1軍初昇格すると、先発の一角を担って9勝をマークした。「数字の残し方がいいです。ああいう風になれれば」。キャンプイン後も一緒に食事に出掛けるなど、公私ともに慕う先輩が理想の投手像。今年は同じ境遇だけに「08年のマエケン」にチャレンジだ。

 昨季は投球時に体重が後方に残るため、力が伝わり切らないと指摘された。そんな課題も秋季キャンプで克服。「全部ゼロにして作り直せた」。遠投などを積極的に行って肩を強化。今春のキャンプもブルペンで投げたのは、速球だけだ。

 大野投手チーフコーチは「腕をしっかり振る、力強さを出すのが今までやり切れなかったけど、だいぶできてきた。成長してくれている」と評価する。チーム今季初実戦の12日・日本ハム戦では先発する可能性も高まった。今村も言う。「秋に良かったのがつながっているのかな。余裕があります」。苦闘した1年の時を経て、いよいよ大器がベールを脱ぐ。【酒井俊作】

 [2011年2月8日10時44分

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