開幕ローテぐいっ!

 阪神ドラフト1位の榎田大樹投手(24=東京ガス)がキャンプ第3クール初日の10日、シート打撃に初登板し、打者6人をパーフェクトに抑えた。初実戦は13日の練習試合ヤクルト戦(宜野座)で中継ぎ登板する見込み。真弓監督は開幕を見据えた調整を認め、ドラ1左腕がローテ有力候補に躍り出た。

 南国の昼下がり。虎の1番星がのんびりムードを一変させた。左打者柴田を外角カーブで泳がせたと思えば、最後は外角にビシッと直球。鮮やかに空振り三振を奪う。そして右打者大和は3球三振。コーナーぎりぎりの内角直球でピクリともバットを動かさせない。打者を打ち取る度、宜野座球場が大拍手に包まれる。エノキ劇場は大成功のまま幕を閉じた。

 榎田

 自分の持ち味は出せました。コントロールミスで打ち損じしてもらったモノもあるけど、今のところは抑えられて良かった。コントロールが良ければ三振を取れることが分かった。三振取りに行った訳じゃなく、ゴロを打たせるつもりで低めに投げました。最低限のことはできました。

 初のシート打撃登板。まったく物おじしない。とにかくテンポが良い。簡単にコーナーを投げ分け、あっさり追い込む。決め球は直球で詰まらせるも良し、変化球でバットの芯を外すも良しだ。直球の速度やフォームのリズムを変え、最速143キロながら緩急もバッチリだった。

 3人目、新井良を迎えた走者一、三塁のケースでは、一塁走者上本の飛び出しをチェックし、落ち着いて一塁にけん制球を投球。打者6人に27球を投じ、2奪三振の完全投球。手玉に取る、とはこのことだ。

 次のステップは実戦初登板。チーム初実戦となる13日の練習試合ヤクルト戦(宜野座)で中継ぎ登板し、1イニングを投げる見込みだ。ただ、無理に猛アピールする必要はなさそう。指揮官はルーキー左腕に異例の指令。開幕を見据えた調整にゴーサインを出した。

 真弓監督

 そんなにあわてて投げる必要はないので、開幕までしっかり投げてくれればいい。(現時点で)8割方できているんじゃないかな。今の段階からオープン戦で少しずつ上げていったらいい。オープン戦で何試合か投げれば(開幕に)間に合う。逆に投げさせすぎたり、あわてすぎて体調を壊してもね。じっくりでいいかなと思う。

 榎田本人も冷静だ。同期ルーキーには日本ハムの佑ちゃんこと斎藤、巨人沢村、西武大石らビッグネームがそろうが、意識するそぶりは見せない。

 榎田

 コントロールをきっちりすれば抑えられると分かった。精度を高めていきたい。周りは周り。自分のことをしっかりするだけ。焦らず今のペースで開幕1軍に残りたい。

 24歳の落ち着きが頼もしい。しっかり地に足をつけ、出世街道の歩みを着実に進める。【佐井陽介】

 [2011年2月11日11時13分

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