阪神は14日、09年まで7年間活躍したジェフ・ウィリアムス投手(38)の現役引退を発表した。かつてプレーした外国人選手に対して日本の旧球団が引退発表するのは異例だ。2度のリーグ優勝に貢献し、藤川、久保田との必勝リレー「JFK」で球界を席巻。「阪神のジェフ」としてユニホームを脱ぐ。盟友たちも偉大なレフティーの引退を惜しみ、優勝への誓いを新たにした。

 マウンドで仁王立ちする姿はもう見られない。阪神退団後に左肩の手術を受け、復帰を夢見てリハビリに励んできたジェフが、ついに決断を下した。

 「左肩の故障が再発したので、現役続行は不可能と判断しました」。

 来日1年目の03年から主に抑えとして25セーブを挙げ、18年ぶりの優勝を導いた。05年にも「JFK」で優勝に貢献した。

 「タイガースから現役引退を発表したのは自分が最も愛着があり、お世話になった球団だから。思い出は03年と05年のリーグ優勝」。

 2シーズンも前に球団を去った外国人選手の引退が日本の旧球団から発表された。ジェフは日本を、そして阪神を愛してやまなかった。左肩のリハビリに明け暮れ、阪神が最後の所属先になったという事情もあるが「阪神のジェフ」としての引退発表は、功績の大きさを物語る。

 「JFK」は岡田前監督が構築した必勝リレー。今でこそ3投手での逃げ切りはトレンドになったが、当時は革新的だった。7回の藤川が相手の勢いを止め、ジェフが流れを引き継ぎ、9回の久保田につなぐ。強い阪神の象徴だった。

 投手陣のまとめ役もこなし、人望も厚かった。球団は退団後もリハビリ状況の調査を続け、再契約の道を探っていた。現役は無理でも、駐米スカウト就任を要望するほど信頼は厚い。そんなジェフの引退。盟友だった「F」と「K」は寂しさを募らせながら恩返しへの思いを新たにした。

 藤川

 もう1度投げるところを見たかった。心からお疲れさまでしたと伝えたい。ケガで退団してからも努力し続けていたということは聞いていました。そういう先輩がいたことは絶対に忘れないし、僕の財産です。ただ、やっぱり残念というのが本音です。

 久保田

 一緒にプレーできて本当に幸せだった。これから先、何をするにしてもジェフならどんな場でも活躍できると思うので頑張って欲しい。

 2人はジェフが抜けたあとも「砦」として奮闘を続けてきた。偉大なレフティーが誇った存在感は選手、ファンの心に深く刻み込まれている。リーグ優勝という報告が「J」への最高の恩返しになる。【柏原誠】

 [2011年2月15日11時16分

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