日本学生野球協会は16日、都内で評議員会を開き、昨年の日本学生野球憲章の改正で緩和した、プロとの交流についての運用規則の最終案を承認した。3月1日から、大学単独チームと、日本野球機構(NPB)所属のプロ球団との試合が解禁となった。プロアマ雪解けに積極的な巨人は、3月中旬以降にも複数の大学と2軍戦を希望していることが分かった。原辰徳監督(52)のおいで、今秋ドラフトの目玉でもある菅野智之投手(3年=東海大相模)率いる東海大も有力候補の1つ。活発なプロアマ交流が、双方の活力を生みそうだ。

 「雪解け」を象徴するホットなカードが実現する。巨人は、3月解禁となる大学との試合に向け、複数の大学との対戦を希望していることが分かった。まず、原監督の母校にして、おいの菅野がエースを務める東海大が、真っ先に名前の挙がるのは自然なこと。東海大は、昨秋の明治神宮大会決勝では、早大に敗れ準優勝。それでも、菅野は3年生エースとして、日本ハム斎藤、西武大石、広島福井の早大ドラ1トリオと互角に渡り合った。そんな強豪チームが、2軍とはいえ、原監督率いる巨人と胸と胸を突き合わす。これまではあり得なかった対戦だけに、プロアマ問わず、球界にとって意義のある試合になりそうだ。巨人はすでに今秋ドラフトで菅野を1位指名することを表明しており、話題性も十分なゲームとなる。

 東海大以外にも、昨春大学日本一に輝いた東洋大、昨秋日本一の早大も候補に上がる。東洋大には最速150キロを誇る今秋ドラフト1位候補の左腕、藤岡貴裕投手(3年=桐生一)がいる。また、今秋ドラフトの野手の目玉、伊藤隼太主将(3年=中京大中京)率いる慶大もリストに浮上。清武球団代表は、プロアマの雪解けに積極的に取り組む意向かを問われると「もちろん」と即答。多くの大学に対戦オファーを出していくことをほのめかした。

 アマ球界では今年を「雪解け元年」と表現している。巨人も2軍の下部組織にあたる「第2の2軍」を創設し、改革の1年と位置づける。アマとタッグを組んで、球界を盛り上げるプランを練っている。今季のイースタン・リーグ127試合に、大学や社会人との対戦を加え、2軍と「第2の2軍」で270試合程度を目標とする。また8月中旬には社会人(関東連盟)とのトーナメントでの交流戦を企画している。ジャイアンツ球場に約3億7000万円を費やし、ナイター照明塔を設置し、ダブルヘッダーも可能になる。飛躍的に試合数を増やすのは、選手の実力を伸ばすため。同時に、アマチームとの対戦も行い、球界全体の底力を高めたい意向もある。

 巨人では、将来的に大学や社会人も交えた「地域リーグ」を作る構想もある。プロアマの垣根を取り払い、新しい球界の形作りへ-。巨人には主体的に動く意志がある。その第1歩が3月に踏み出される。

 [2011年2月17日8時22分

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