ロッテ荻野貴司内野手(25)が、ほろ苦いプロでの遊撃手デビューを果たした。16日から始まった紅白戦に白組の「2番遊撃」で出場。右膝半月板を損傷した昨年5月21日のヤクルト戦以来の実戦復帰を果たすとともに、試合では関学大4年以来となる遊撃の守備についた。

 3本のゴロと2本の飛球を処理したが、捕球や送球に安定感を欠く面があったのは否めない。4回には伊志嶺の三遊間方向へのゴロを捕球ミスして、失策を記録。「技術が足りません」と唇をかんだ。8回には金泰均の平凡なゴロを一塁へワンバウンド送球し、福浦の好捕に助けられた。上川内野守備走塁コーチは「送球でも三遊間方向の動きでもそうだが、右足を踏ん張りきれていない」と指摘する。右膝の回復度合いは現状で「85%程度」(荻野貴)。無意識のうちに力を加減してしまうから、球際や送球でのミスも出る。

 ミスもあった中で、大きな収穫もあった。最後まで試合に出続けたことだ。「8回をフルにやれたことが収穫です」。厳しい表情でプレーを振り返っていた荻野から、一瞬だけ白い歯がこぼれた。9カ月ぶりの実戦をこなし、「ポスト西岡」へのスタートラインに立った。勝負はこれから始まる。【鈴木良一】

 [2011年2月17日8時23分

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