遊撃コンバート2年目を迎える中日荒木雅博内野手(33)が「遊撃仕様」の送球フォームを大きく完成に近づけた。18日の全体練習後、サブグラウンドで1人で80分間も特守。指導役の辻総合コーチから「良くなった」と認められた。

 一心不乱だった。体のやや右側でボールを取り、素早くグラブごと右肩付近に引き上げ、なめらかに重心を一塁方向に移動させながらスロー。同じ動作が約300球も続いた。

 8日にキャッチボールをしていると、落合監督から右肩が下がるクセを指摘された。二塁に比べて遊撃は送球の距離が長く、遠くに投げようと無意識に上体が上向きになる。送球動作も遅くなっていた。

 荒木は「二塁のときのクセで(流れが)どうしても止まってしまう。一連の動きでやらないといけない。体重を後ろに残さないようにした」と説明した。昨年から追い求めてきたフォームがこの日の集中特守で固まり始めた。

 1時間を過ぎたころ、辻総合コーチが「今のいいぞ」と叫んだ。理想に近い姿を記録しようと、球団スタッフにビデオカメラを取りに走らせて撮影を開始。辻コーチは「明らかによくなっていたからビデオで撮った」。指導の声が飛ぶことも少なくなった。

 09年まで二塁で6年連続ゴールデングラブ(GG)賞の名手だが、昨年は右肩痛もあり、転向1年目の遊撃でリーグワースト2位の20失策。ほとんどが送球ミスだった。今年は肩の調子もいい。80分間投げ続けられた自信、そして本格的な遊撃手への脱皮の兆し。GG賞奪回を狙う荒木の表情に充実感がのぞいた。【柏原誠】

 [2011年2月19日11時1分

 紙面から]ソーシャルブックマーク