今年もやるで!

 阪神マット・マートン外野手(29)が20日、今季初打席で初安打だ。紅白戦に「3番右翼」で先発し能見から左前にクリーンヒット。開幕候補左腕の伸びのある速球を力強く引っ張り、パワーアップの成果をみせつけた。目標は日本記録214安打の自分超え。2年目は安打数とともにアーチ数でも期待できる

 いきなり出た。日曜日の紅白戦。マートンに向けて、満員のスタンドから拍手の嵐だ。日本新記録を作った昨季のねぎらいと、今年への期待感が渦巻いているようだった。

 1回2死。マウンドには、開幕投手候補の能見だ。投打の主力がガチンコバトル。勝負は、2ボール2ストライクからの5球目に決まった。外角低め139キロの直球を、やや差し込まれながらも三遊間に打ち返した。力負けしないスイングに、オフから取り組むパワーアップの成果をにじませた。

 マートン

 今日の試合で、今年の第1歩が切れた。キャンプからやってきたことが、試合でどういう状況か見られたので、それが良かった。初めての試合で、どうこうっていうのはないけど、もちろんいい結果はほしかったよね。

 初実戦は2打数1安打。球史に名を刻んだヒットメーカーが、変化と成長を求める中での一打に胸をなで下ろした。

 今オフからモデルチェンジを図っている。狙いは、本塁打量産だ。トップの位置でバットのグリップは3センチほど捕手方向に引き、ミートポイントまでの距離を広げた。反動がつくよう、左足の上げ幅も増やした。いずれも、強いインパクトを生み出すため。プポルス、バティスタなど現役メジャー強打者の映像を研究し、たどり着いた。

 前人未到の214安打を放ちながら、本塁打数17本が満ち足りなかった。あれだけ打ちまくった昨季もシーズン中、周囲に「悩み」を漏らすほどコンプレックスだった。

 メジャー時代、巧打の外野手で売り出していた。だが、06年カブスでレギュラーをつかみ取った翌年、ソリアーノ、フロイドの長距離砲が加入し、出場機会を奪われた。もう2度と、そして日本でも悔しい思いはしたくない。果てしない向上心と危機感が「パワーアップ」の道を選んだ。

 和田打撃コーチ

 いろんな事を試していたけど、試合ではフォームがふらふらしないのはさすが。迷っていなかった。

 試行錯誤を重ねる段階でも、その場に応じたフォームで打席に立てる適応力が、好不調の波を抑えられる。希代の安打製造機は2年目も、ダイナマイト打線に火を付ける。

 [2011年2月21日10時33分

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