<オープン戦:中日3-8楽天>◇26日◇北谷

 中日で監督と主砲という関係だった楽天星野仙一監督(64)と中日落合博満監督(57)が、指揮官として初対決した。

 因縁は過去のものになっていた。楽天星野監督と中日落合監督。指揮官、主砲という立場で同球団、ライバル球団で戦った2人の初対決は、和やかなムードで幕を開けた。試合開始約3時間前、「元上司」の星野監督の方から落合監督のもとに出向いた。ベンチ裏の一室で約15分間、現場を預かる同じ立場として、チーム状況を説明し合った。

 星野監督が明かす。「オレは選手をくれって言ったんだよ。向こうは左投手がいないって言ってたけどな。チェンとか、ケガしているんだろう。うちには左いっぱいいるけど、左投げ(というだけ)だからなあ」。冗談まじりに戦力を要求。すると落合監督も先発チェンが離脱するなど左腕不足を嘆いたという。

 試合前のメンバー交換では星野監督が落合監督の肩に手をかけて引き留め、談笑した。試合も互いを過剰に意識することなく、それぞれのテーマで戦った。同点で迎えた8回無死一、二塁から星野監督は代打・銀次に送りバントを命じた。結果的には四球となったが、勝負にこだわる形を徹底させた。一方、落合監督は荒木、森野という主力を1打席で交代させると、若手や2軍から招集した選手たちに出場機会を与えた。ほとんどサインを出さず、激しい競争の中から、ふるい落とすことに徹した。

 試合は勝利への執着を見せた星野楽天が8-3で勝った。2試合目でオープン戦初勝利を収め、星野監督は「適時打が出てなかったけど、つながったな。若い選手も頑張っている」。交流戦は4試合。因縁を越えて、闘将と知将が真剣勝負でどんな采配を見せるのか。楽しみだ。【鈴木忠平】

 [2011年2月27日8時46分

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