<オープン戦:中日3-3ロッテ>◇27日◇北谷

 いける!

 中日の新外国人ジョエル・グスマン外野手(26=オリオールズ2A)がロッテ戦でオープン戦初安打を含む2安打2打点と大暴れ。ボール球になる変化球を振らないという“成功の秘訣(ひけつ)”を早くもつかんだ。実戦7試合で3本塁打、10打点のチーム2冠。文句なしの成績で初めての日本のキャンプを締めくくった。

 昨季の日本シリーズを戦った両軍が顔を合わせた初回、グスマンにとって最高の見せ場がきた。1死満塁。荒木が出て、井端が進め、森野と和田が塁を埋めた。シーズン中にあるであろう状況に冷静に対処した。ロッテ先発光原の外角へ逃げる変化球を見極めて2ボールと有利なカウントに引きずりこんだ。そして、3球目。ストライクを取りにきた直球をとらえた。

 「満塁ということで、まず打点を挙げようと考えた。打った瞬間は(スタンドに)入ったと思ったけど、おそらく風の影響だね」。

 打球は完璧な角度で舞い上がったが、逆風に戻されたこともあって中堅フェンスを直撃。逆転2点打となるオープン戦初安打は、あと少しで満塁弾だった。だが状況に応じた打撃と、何より日本人投手への順応の早さが証明された打席だった。

 22日の練習試合から韓国球団相手に3戦連発したグスマンだが、オープン戦では日本の投手に対し、本来の打撃ができるかどうかが注目された。前日の初戦は楽天田中の剛球の前に2打数無安打。しかし、この日は思わず手が出てしまいそうな低めに外れる変化球にバットが止まった。それが結果的に2点打につながった。

 「やはり日本人の投手は特に変化球がいい。ストライクゾーンのすべてを使ってくる。大事なのは落ちる球を振らないこと」。

 グスマンは1カ月間で学んだ“成功の秘訣”を明かした。ドミニカ時代の同僚であり、日本球界の先輩でもあるブランコから日本人投手の特徴を取材。実戦形式の練習などで味方投手を観察し、自分なりの対応策を見いだした。日本のバッテリーが考える長距離打者封じの常とう手段を早くも見切ったのだ。

 6勤1休のハードキャンプを乗り切り、実戦7試合で20打数7安打、打率3割5分、3本塁打、10打点。グスマンは沖縄での1カ月をこう振り返った。

 「自分の人生でこれだけ練習したという記憶はない。チームも自分もハードワークしたことに非常に満足している」。

 もう何年も日本球界でプレーしているかのような落ち着きと、風格が成功を予感させる。【鈴木忠平】

 [2011年2月28日10時10分

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