<オープン戦:ソフトバンク4-2広島>◇27日◇福岡ヤフードーム

 ガブッ!

 おいしい打点いただき-。ソフトバンクのアレックス・カブレラ内野手(39=オリックス)が、広島戦に4番DHで先発。初回無死満塁で中前2点適時打した。オープン戦初安打は、今季量産を掲げる打点つき。1番川崎、2番本多でチャンスをつくり、4番カブレラがかえす。11年型タカ打線の得点パターンがお披露目された。

 巨体で器用。新4番が持ち味を発揮した。初回無死満塁。これ以上ないおいしい場面に、カブレラは舌なめずりしたに違いない。

 「最低でも犠飛を打ちたいと思っていた。走者を返す打撃を意識していた。うまく打てた」。

 ここは1発-とは力まずに、4球目の144キロ、真ん中低めの直球をはじき返す。技ありの一打は、先制打となる2点適時打。低めの球にも、きっちりミートする技術の高さを披露した。

 気をよくした主砲は3回、先頭で四球を選ぶと8番松田の中前打で二塁から全力疾走で生還した。川崎、本多の1、2番コンビがチャンスをつくり、中軸がたたみかける。その中心がカブレラだ。この日は3番松中、5番小久保を両脇に、かつて本塁打王を獲得したトリオでクリーンアップを結成。6番多村、7番内川と昨季の3割打者が下位に並ぶ新打線は、機能した。

 「1、2番は出塁が高く足が速い。後ろにも素晴らしい打者がいる。つなぐ意識を持っていきたい」。

 宮崎キャンプでは腰痛のため別メニュー調整が続いた。だが、3月25日のパ・リーグ開幕オリックス戦(福岡ヤフードーム)に向けギアを上げてきた。藤井打撃コーチが「もう、どうのこうの言うレベルの打者じゃない」と話す通り首脳陣からオレ流調整を容認。入念に腰のマッサージを受け痛みは和らいだ。オープン戦2戦目で移籍後、初安打初打点を放ち、本拠ファンから新4番として認められた。

 「今年の目標は打点王。そこにこだわりたい」。

 西武時代の02年に歴代最多タイの55本塁打を放った大砲が何よりこだわるのは打点。走者を返すことに集中する。フリー打撃前には「脇を締める意識をつけるため」とチューブを引っ張る練習を繰り返す。練習でも右へ左へ打ち分け、広角に打つことを意識する。

 「場面、場面に応じた打撃をしていきたい」。

 本塁打の日本記録更新も期待される大砲だが、長打を無理に狙うつもりはない。安打の延長が本塁打でいい。あくまで打点王に照準をしぼり、豪華なメンバーが並ぶソフトバンク打線の中核を担う。【奈島宏樹】

 [2011年2月28日10時45分

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