<オープン戦:巨人3-2西武>◇2日◇東京ドーム

 対照的な静寂だった。西武大石達也投手(22)が投じた初球は137キロの直球。巨人沢村の立ち上がりは145キロだった。静かだった大石とどよめきを誘った沢村。球速差以上に観客の反応の差は明らかだった。最速144キロで2回2安打無失点。数字は及第点だが、物足りなさも残った。誰より本人がそう感じていた。「ゼロに抑えられたのはたまたま。収穫はありません。このままじゃ通用しない」。不満がありありとにじんだ。

 腕が振れず、振ろうとして力むとボールが高めに浮く。最大の武器である直球のキレはいまひとつだった。「直球がどれだけ通用するか」というテーマに反して、27球中変化球が11球。渡辺監督も「思ったよりボールがきてなかった」と評した。爽快感のない投球の原因について、大石は「投球フォームがしっくりこなくて…。思った以上に腕が振れない」と分析。「感覚的なものなので、どこがというものじゃない。とにかく大学時代のいい感覚を取り戻せるようにしたい」と続けた。

 技術的な部分だけではないだろう。初めてのオープン戦で巨人相手に先発。「早慶戦もやってましたし、緊張はなかった」と話すが、プレッシャーを感じない方が無理というもの。周囲に試合前の調整法を相談して臨むなど、先発としてゲームへの入り方を試行錯誤している面もあった。

 次回登板は8日の教育リーグ・楽天戦(西武第2)となる見込み。これまでより長いイニングを投げる予定だ。内容は沢村に完敗だった。しかし、足りないのは技術よりも何よりも、先発としての経験。すべてを糧に、スターターとしての自分をじっくりつくっていけばいい。【亀山泰宏】