<オープン戦:阪神3-2横浜>◇6日◇倉敷

 センターは俊介や!

 阪神俊介外野手(23)が、オープン戦横浜戦でレギュラー取りを決定づけるサヨナラ打を放った。同点に追いついた9回2死一、二塁から中越え二塁打で中堅争いに終止符を打った。真弓明信監督(57)は「まだまだ」と話すがインパクトは絶大。11年型打線の大枠が固まってきた。

 執念で勝負を決めた。小雨舞うマスカットスタジアム。沈黙していた打線が、最終回に意地を見せた。マウンドには横浜の守護神山口。相手のミスにもつけ込み、2点差を追いついた。とどめを刺したのは、俊介だった。

 俊介

 自分のスイングが出来ました。良い形で振れたのが良かった。今から(山口を)打てて良かったです。

 9回2死一、二塁。1ストライクから山口の直球に振り負けなかった。大きな放物線は、前進守備の中堅手の頭を悠々越えた。二塁走者が生還し、サヨナラ勝ち。一線級右腕から放った価値ある一打は、試合も、中堅手争いでも「決勝打」となった。真弓監督は「まだまだ」とレギュラー手形こそ与えなかったが、十分すぎるアピールだった。

 和田打撃コーチ

 ああいうのを持っている。場面にあった仕事をする。確実性が出てきたら面白い。

 8年前の奇跡の再現だった。03年11月5日、広陵高1年の秋季中国大会決勝。舞台は、同じマスカットスタジアム。9回2死二塁で、1学年上のチームメート上本が目の前で敬遠された。俊介はそれまで3安打。思い切り振った打球は、左翼フェンスを直撃。神宮大会出場を決めるサヨナラ打となった。自身の特長を「どんどん思いっきりいけること」と話す。持ち前の思い切りは、プロになっても変わらない。

 昨季は1年目ながら124試合に出場した。春季キャンプ開始時点で、中堅手のレギュラーに一番近い位置にいた。だが、成長を期待する首脳陣からは、徹底的に競争をあおられた。浅井、坂、柴田、田上としのぎを削る中で、キャンプ中は本来の動きを見せられなかった。

 オープン戦に入り、トップの形をしっかり作る打撃フォームが固まり、調子を上げてきた。この日は5打数2安打1打点で、オープン戦の打率は3割6分8厘まで上昇。南球団社長はトレードで外野手を補強する考えを明言しているが、そんな必要はないと言わんばかりに打ちまくっている。

 俊介

 毎日、結果が出るように自分のスイングでアピールしたい。

 中堅の定位置は、誰にも譲るつもりはない。フルスイングで、2年目のジンクスも振り払う。【鎌田真一郎】