<慈善試合:ヤクルト3-0広島>◇2日◇神宮

 ヤクルト館山昌平投手(30)は、試合直前の調整でストップウオッチを握っていた。神宮に隣接するこぶし球場で50メートル走を測り「6・3秒」。「毎回試合前にはタイムを測る」と体重管理の指針にする。98キロにビルドアップした肉体。「50メートルのタイムを考えるとこれが限度」と、昨季の92キロから投球に耐えるギリギリの増量でシーズンに向かう準備を整えた。

 本拠地神宮は、久しぶりの観衆に沸いた。無観客だった練習試合から一転、9434人が見つめた。「野球は力があるんだと思った」。6回3安打無失点。3月6日のソフトバンク戦の3回から、2軍戦を含めて5試合25イニング連続無失点を続ける。「自分で言うのもなんですけど、状態はいい」と順調だ。

 オフは日本ハム・ダルビッシュのように、体重増に取り組んだ。昨季12勝を挙げたが、変化を恐れない。筋肉の成長のために、睡眠は1日10時間以上取る生活を1カ月以上続けた。最大102キロから、トレーニングでそぎ落とした。

 この日は「直球の走りが悪かった」と反省しながら、シュート、スライダーをコーナーに投げ分けた。「もともと年間を通して真っすぐは3割ぐらい」と、多彩な変化球が例年以上に切れている。

 昨年オフから初の開幕投手を目標と公言してきた。「そういう意識でやってきたことが良かった」。順当なら2カード目初戦、15日の横浜戦先発が濃厚。大役は選手会長石川に譲っても、「ダブルエース」として投手陣を引っ張っていく。【前田祐輔】