<オリックス2-2ソフトバンク>◇12日◇京セラドーム大阪

 タカのFA新戦力が、いきなり機能した。ソフトバンク内川聖一外野手(28=横浜)がオリックスとの開幕戦(京セラドーム大阪)の初回、先制の左越え適時二塁打。7回には細川亨捕手(31=西武)が適時三塁打を放った。延長12回の末、引き分けたが、新戦力が期待通りの力を発揮。13日、仕切り直しの一戦に臨む。

 帽子をとって深々とおじぎした。左翼席から起こった「いいぞ、いいぞ、内川」の大コールに内川は応えた。ホークスの一員として認められた気がした。初回1死二塁。移籍後初打席、2球目だ。129キロの変化球を鋭いスイングで左翼へはじき返す。いきなり先制の適時二塁打を放った。

 内川

 いつも第1打席が大事と思っているが、開幕戦で特にその思いは強かった。打ったのはスライダーかフォークか。ちょっと分からないぐらい気持ちが入りまくっていた。チームの今季初打点が、自身の移籍初打点ということもうれしい。

 勢いは止まらない。4回の第2打席には128キロの変化球を左前へ運ぶ、2打席連続の安打。横浜時代の08年に3割7分8厘と右打者最高打率をマークしたヒットメーカーが、技術の高さを見せつけた。

 細川も続く。1-0の7回2死二塁、無我夢中でバットを振った。真ん中低めのフォーク。打球は飛び込んだ左翼T-岡田のグラブを越え、二塁走者が生還した。

 細川

 「当たってくれ」という気持ちを込めてバットを振った。追加点がほしい場面だった。

 2人とも家族の支えが活躍の源だ。内川は、4月からフジテレビを退社した翼夫人との福岡での生活が始まった。夫人はこの日、福岡から駆けつけスタンドで声援を送った。「私は野球は分からないけど、あなたを最高の状態でグラウンドに立ってもらうのが、私の仕事」。栄養学を学び、高タンパク低カロリーの食事をつくってくれている。

 細川は真紀子夫人、7歳の長女、4歳の長男との福岡での新生活が癒やしとなっている。「練習後も家で野球をやるんです」。ゴムボールでの長女、長男とのキャッチボールは日課という。

 開幕戦で、いきなり結果を出したFAコンビ。ホークスでも不可欠な存在であることをバットで証明した。悔しい引き分けに終わったが、2人が打てば、ソフトバンクはパ・リーグ2連覇は大きく近づく。【奈島宏樹】