<巨人3-7阪神>◇3日◇東京ドーム

 日本一に輝いた85年以来の巨人戦3連発だ!

 阪神が4本塁打で巨人に圧勝した。1点リードの3回、3番鳥谷敬内野手(29)、4番新井貴浩内野手(34)と5番クレイグ・ブラゼル内野手(30)が、先発の東野から3者連続本塁打を放った。巨人戦での3~5番の連続本塁打は、85年甲子園でのバース、掛布、岡田のバックスクリーン3連発以来、2度目。まだ消化試合は17試合で勝率は5割だが、虎党なら「優勝や~!」と叫びたくなる吉兆の1発攻勢だった。

 阪神が敵地の東京ドームで、語り継がれている伝説のシーンを“再現”した。1点リードの3回。打球が伸びないとされる統一球をドンドン、ドン!

 とスタンドに運んだ。

 新たな伝説は3番鳥谷から始まる。2死一塁。フルカウントから、東野の内角直球をフルスイング。低空ライナーは右翼席上段の柱に直撃した。「ホームランをバンバン打つようなバッターじゃないですけど、勝ちに貢献できてよかった」。17試合目で飛び出した今季1号で、9試合ぶりの打点。「最初で良かったです」。阪神の選手会長は、3連発のうち、プレッシャーのかからない?

 1発目だったことをおどけながら振り返った。

 続いたのは、労組プロ野球選手会の会長として12球団の選手会を束ねて“開幕問題”で奮闘した4番新井貴だ。「阪神ファンはもちろん、球場全体の熱気が感じられた。プロ野球ファンのみなさんは東京ドームの試合を待っていたんだなって伝わってきた」。球場を埋め尽くしたファンからひときわ大きな拍手を浴びて打席に入ると、東野の2球目、外角高め128キロスライダーを左翼席にたたき込んだ。「自分のスイングがしっかりできた」。4月30日ヤクルト戦(甲子園)から3試合連続の本塁打に胸を張った。

 この勢いに不振を極めた5番ブラゼルが乗った。「球場の雰囲気を感じて、ちょっと打席に入るのが嫌な感じだったけど…」。だが、東野が投じた甘いスライダーを見逃さなかった。白球をとらえた瞬間、減灯の東京ドームにどよめきが起きた。右翼席に飛び込む今季初本塁打。統一球の影響で、打球が伸びず、焦ってフォームを崩すという悪循環に陥っていた昨季47発の長距離砲。2回の第1打席まで20打席連続ノーヒット。ようやく出た今季1号は、大きな意味を持っていた。

 「今季初めてだ。ホームランがつながるのはいいですね。これをきっかけにドンドン打ってもらいたい」。真弓監督の口調は滑らかだ。自ら1番打者として出場して目撃した85年の伝説3連発が脳裏によみがえったのだろう。「出そうな感じはあった。1本出ると、変わってくる。ちょっと思い出したよ」と笑みを浮かべた。宿敵の開幕投手、東野から打ったというのも意義深い。攻撃力が上がれば、ヤクルト、広島への追撃態勢は整う。勝率を5割に戻した真弓監督は続けた。「これから貯金していかないといけない」。敵地での巨人戦3連発は史上初。阪神打線が力強く復活ののろしを上げた。