<オリックス0-7日本ハム>◇5日◇京セラドーム大阪

 誰が予言したのか、こどもの日は「中田の日」!

 日本ハム中田翔内野手(22)がオリックス戦で、米大リーグでアジア人最多の通算124勝を挙げた朴賛浩投手から2安打2打点と大暴れ。初対戦となったアジアのスターを粉砕した。5試合連続安打中と絶好調の中田の活躍で、チームは2カード連続勝ち越し。貯金を今季最多6に戻し、たった1日で単独首位に返り咲いた。

 試合前の練習。ベンチに置かれたホワイトボードの文字が、この試合を予言していた。謎の文字は「5月5日」という日付の後に続く。こどもの日にちなんで大きく書かれた「中田の日」。「誰が書いたん?」と言いながらも、犯人不明のおちゃめな演出に背番号6の目は笑っていた。

 この「こども」が、空にたなびくコイのぼりのごとく大暴れしたから、相手のオリックスはたまらない。マウンドには米大リーグで通算124勝を挙げた朴賛浩。4回、3球で追い込まれた後に中前打を放って続くホフパワーの2ランを呼び込むと、5回は2死一、二塁から高めに浮いた不用意な球を逃さず左中間へ。値千金の2点二塁打で、アジアのヒーローをノックアウトした。

 世界で活躍したベテランの投球に、当初は戸惑った。微妙に球を動かすのが得意な右腕の魔術に「何を待っていいか分からない感じで、打つのが難しそうだなと思った」。だが、ここからが成長の証しだ。5回の打席を振り返り「いつものように真っすぐを待ちながら変化球に対応すればいいんだと気持ちを切り替えたら、1球目から甘い球がきた」と、してやったり。この日2本塁打を放ったホフパワー、糸井と並び、14打点でチームトップに並んだ。梨田監督も「あれは効くヒットだったね。追加点が欲しいところで打ってくれた」と褒めちぎるしかなかった。

 「こどもの日だから、中田の日なんでしょ。こっちが子どもだから」と頭を指さしながら解説した清水守備走塁コーチだったが、犯人不明で本意は明らかにされないまま。やんちゃで、奔放で、憎めない性格の22歳は、誰からもいじられる。レギュラー陣で最も若いそんな「末っ子」が、チームを再び単独首位に押し上げた。【中島宙恵】