<横浜3-7日本ハム>◇24日◇横浜

 初の4番抜てきへ。日本ハム中田翔内野手(22)が、今日25日の中日戦(ナゴヤドーム)でプロ入り初の4番に座ることが濃厚になった。24日横浜戦(横浜)で4番小谷野栄一内野手(30)が左太もも裏痛で途中交代。25日も出場できない場合は、リーグ2位の27打点をマークする中田が代わって4番になりそうだ。この日は4打数1安打1打点だったが、ダルビッシュの先発予定試合から4番中田がスタートする。

 静かに、おとこ気をたぎらせた。中田にプロ入り初の4番抜てきの可能性が急浮上した。この日の横浜戦で主砲・小谷野が左太もも裏を痛め途中交代。今日25日からの中日2連戦の出場が微妙な状況で、代役候補の筆頭になった。梨田監督は「代役は中田?

 たぶんそれで合っていると思う」と示唆。それでも中田は、浮足立つことなく冷静に受け止めた。「そういうことは考えない」。22歳離れした度量の大きさで、自然体を貫いた。

 緊急事態にも威風堂々と立ち向かった。中前打を放ちお膳立てした2回に1点を先制。続く3回。格好のデモンストレーションの場面が到来した。1死満塁。全身を深く沈みこませる。パワースイングの源になる右太もも内側の内転筋へ、右こぶしでパンチを入れる。「いつも意識するように」。独特のルーティンで下半身に入魂し、カウント2ボール1ストライクからの4球目に反応。内角球に押し込まれたが、左翼へ高々と運んだ。

 主砲として最低限の仕事となる犠飛。今季から見せる勝負強さで1点を、軽々と積み上げた。前夜は左腕エース武田勝を、登板5戦連続完封負けという記録的黒星へ追い込んだ。2打数無安打に終わった痛恨の思いなのか-。この日は丸刈り頭をさらに青々とした5厘へと刈り込み、汚名返上の一戦に乗り込んだ。「ホームランとかより、打点が一番うれしい」と一夜で、うっぷんを晴らした。

 大奮闘で、名誉ある座を手中にしそうだ。開幕直後の大不振を脱出。チームトップ27打点はリーグ1位のロッテ井口に1打点差と肉薄中だ。5月は打率3割3分3厘、5本塁打、20打点。「ランナーがたまった時にちゃんと振れている」とフロックではない自覚がある。打者の左右で交互にジグザグ打線を組むのが、梨田監督の不変の理想。3番糸井、5番稲葉の左打者に挟まれた中軸の中心の看板を背負う、資格がある。

 実現すれば、燃える要素十分の大役。小谷野は入団時に挑戦した三塁守備の教えを請い、私服をプレゼントしてもらったこともある特別な先輩の1人。「今まで通りやるだけ」。気負いも、ビッグマウスもない。使命の大きさと真正面から向き合い、進化の春を加速させる。【高山通史】