<ヤクルト0-9日本ハム>◇3日◇神宮

 日本ハムが5試合連続無失点勝利のパ・リーグ新、プロ野球タイ記録を樹立した。ヤクルト3回戦で、先発ボビー・ケッペル投手(28)が7回4安打で5勝目をマーク。谷元、石井と継投し、5月26日中日戦の6回から続く連続イニング無失点のリーグ記録も50まで伸ばした。今日4日の同4回戦で6試合連続完封勝利と、阪神が1942年にマークした52イニング連続無失点更新のプロ野球記録に挑む。

 先発ケッペルが0を7つ並べたところで、ブルペンの電話が鳴った。救援陣を呼ぶコールに芝草投手コーチは「記録が懸かっている。何とか抑えてくれ」と救援陣にはっぱをかけた。3投手でスコアボードに刻んだ9つの0。9回2死、石井が代打野口を三邪に仕留める。プロ野球記録に並ぶ5試合連続完封勝ちを、成し遂げた瞬間だった。

 この5試合、先発の踏ん張りと豊富な救援陣で白星を重ねてきた。先発ではダルビッシュ、武田勝という左右の柱はいるものの、1人で投げきったのは1日阪神戦のダルビッシュだけ。この日も、8回谷元、9回石井がシャットアウトピッチング。梨田監督は「記録がすべてではないし、普段通りにやっただけ。劣勢の時に投げる投手が完璧に抑えてくれた」。勝ちパターンとそれ以外の救援陣で力の差がないことが強み。大事な一戦でも、先を見据えて登板間隔の空いている投手の起用を優先した。

 チーム編成力のたまものと言える。この日、150キロの直球で2三振を奪うなどすごみのある投球を見せた谷元は薬品卸業のバイタルネット出身。アマ時代は無名に近い存在で、入団後、梨田監督からは「薬屋」と呼ばれた変わり種だ。166センチの身長をいとわず指名に踏み切った。

 この5試合で3度登板し勝利の方程式の1人となっている増井は「球は速いがボールが高めに浮く」と他球団から敬遠された。しかし「そこが利点だと思った。いいものはいい」と山田GM。リーグを代表する左のセットアッパーへ成長した宮西も関学大4年時に評価を落としたものの「中継ぎなら十分使える」と判断した日本ハムが大学・社会人ドラフト3巡目で指名した。周りに流されず、評価の軸が決してぶれない。そんな姿勢が、今の強固なブルペン陣容につながっている。

 これで5月26日から50イニング連続無失点。これは歴代2位タイ記録で、1942年に阪神がマークした52イニング連続無失点のプロ野球記録も視野に入る。「とにかく勝つことが目的なので意識はしない」と梨田監督はあくまで冷静だが、好調な投手陣をもってすれば大記録も夢ではない。【中島宙恵】